地唄・三婆 有吉佐和子作品集 (講談社文芸文庫)/講談社
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1960年前後に書かれた作品4作

 

「地唄」

 

「美っつい庵主さん」


「江口の里」


「三婆」


 

そして、69年に書かれた

 

「孟姜女考」


 

が収められています。


 

表題作「地唄」は、外国との距離感に時代を感じます。

 

三味線や琴という伝統芸術を引き継ぐ父と娘の関係性が主題なので、

 

一般の価値観とはかけ離れているのだろうけど、、、、


 

娘がアメリカにわたることが、

 

まるで今生の別れのような雰囲気で語られているところが少し違和感を感じます。


 

まぁ、半世紀も前の話なので・・・・・というより、50年ちょっとの間に日本が劇的な変化

 

をとげたのだな~と驚かされます。



 

ラストの「孟姜女考」は、やや毛色の違う作品です。

 

おそらく(というか絶対!)実際に有吉さんが見て聞いて感じたことなのだろうと思います。

 

巻末の著者年表を見ると、1962年と65年に中国を訪問していますし。


 

「孟姜女」というのは、長城時代から伝わる中国の伝説だそう。



 

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新婚間もない孟姜女の夫が、長城建設のための強制労働にかり出された。

 

一人残された孟姜女は、寂しさに耐え切れず、ある日、夫を訪ねて長城まで行く。

 

しかし、長城は果てしなく長い。

 

長い年月さがし歩き、やっと夫の居場所をつきとめ、たどり着いた時、

 

すでに夫は亡くなっていた。

 

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ざっと、こんな話。


 

主人公の女性(おそらく有吉さん自身がモデル)が初めてこの話を聞いたときの孟姜女のイメージ

 

 

美しく

 

妖精のような

 

小柄(纏足とも思っていた)

 

かれんな雰囲気



 

その後、いろいろ調べたり見聞きしたりするうちにどんどん変化していき、


 

最後には


 

大柄

 

たくましい

 

骨太の女性


 

となる過程がとてもおもしろいです。


 

これ、そのまま中国人に対するイメージの変化と連動しているのではないでしょうか?

 

私が以前、中国に住み始めたときも、同じようなことを思いました。


 

同じ東洋人であっても、日本人と中国人の気質は本当に違う!

 

あちらは、押しが強いし、意見ははっきり言うし、物おじしないし。

 

日本人気質そのままの私は、そんな中国人たちに憧れを抱いたものでした。



 

「有吉佐和子の中国レポート」

 

という著作もあるようです。

 

有吉佐和子の中国レポート (1979年)/新潮社
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孟姜女のことも書いているのでしょうか?

 

こちらも興味深いですね~