新年明けてから、藤沢周平の短編集を2冊読みました。


 

まずは、「初つばめ」

初つばめ―「松平定知の藤沢周平をよむ」選 (実業之日本社文庫)/実業之日本社
¥669
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チャンネル銀河で放送されていた「松平定知の藤沢周平をよむ」

 

その中で朗読されたものから特に選りすぐったもの10作を収めたオリジナル短編集です。



 

藤沢周平の短編は朗読に向いているらしく、先生を始め多くの諸先輩方が読んでおられます。

特に、「日暮れ竹河岸」

日暮れ竹河岸 (文春文庫)/文藝春秋
¥551
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これに収められている作品は、10ページ足らずの超短編が多く、

 

それでいて構成もしっかりしていることから、先生も「教科書」と称するほど。

朗読する者にとっては、まさに”基本のき”と言える書です。

 


以前、同じグループの朗読仲間であるマダムN夫人が、この中の「夜の雪」を読んでいました。

 

N夫人の色っぽい声で聞く「夜の雪」は、情感たっぷりで本当にステキでした。

 

作中に登場する、落ちぶれた商家のおかみさんと、やや適齢期を過ぎた娘との関係は、

 

今に生きる私も共感できるものでした。


 

母のいら立ち、さびしさ・・・・・

 

娘の切なさ、不安な気持ち・・・・・・



 

いつかは私も挑戦したい!そんな作品の一つです。



 

話を「初つばめ」に戻しましょう。

 


これに収められている作品は、どれも30ページほどと少し長いので、

 

朗読初級者の私には体力、技術ともに厳しいのですが、、

 

でも、松平氏のような”しゃべりのプロ”の方であれば十分聞かせることができるのでしょう。


 

もちろん普通の読書としても存分に楽しめます。


 

どの作品にも共通して言えるのは、


 

えっ?もう終わり??!!


 

という、ちょっと物足りない感じです。

 

どれも絶妙のタイミングで結末を迎えており、読む者の想像力はフル稼働します。


 

もっと読んでいたい!

 

登場人物たちのその後が気になる!!

 

彼ら彼女らの世界ともっとつながっていたい!!!


 

こんなふうに思えたら、短編の醍醐味を十分に堪能したと言えるのでしょう。


 

内容的におもしろかったのは、表題にもなっている「初つばめ」

 

そして、「運のつき」 あたりでしょうか?


 

「驟り雨」(はしりあめ)や「時雨みち」 などは題名が詩的で雰囲気を感じます。




 

もう一冊は、「夜消える」

 

夜消える (文春文庫)/文藝春秋
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「初つばめ」収録作品と比べると、それほどおもしろくないものも含まれていますが、、、


 

「遠ざかる声」はよかったです~かなり長いですが。

 

妻に先立たれて十年近く独り身の男が、妻の幽霊と会話する

(それもかなり本格的な会話。ケンカにまで発展しそうな勢いの)

 

という、とてもドラマティックなお話で、これは朗読でやったらおもしろいだろうと思います。

 

松平氏も読んでいたようです。



 

今年の私のテーマの一つが藤沢周平です。

 

今からたくさん作品を読んでおいて理解を深め、いずれ2~3年後に一つ形にしたい。

 

そんな野望を抱いております。