とりかへばや物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)/著者不明
¥780
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手芸も今年のテーマではありますが、、、、、

やはり一番のテーマは日本の古典にしたいと思います(^人^)


 

まずは、角川ソフィア文庫より出ている「ビギナーズクラシックス 日本の古典」 シリーズより

「とりかへばや物語」です。


 

古典初心者にもわかりやすいように、前書き、抜粋された原文、それに対応する現代語訳、そして解説、

という構成からなっており、まるでTVドラマを見ているかのように楽しめます。


 

ビギナーズというだけあって、非常に読みやすいし、解説もポイントをおさえてあり、面白いです。

原文もありますが、面倒ならとばして読んでもOKだし(;^_^A


 

このビギナーズクラシックスシリーズは、もちろん他の物語も出ています。

源氏物語や枕草子などの平安時代の代表作はもちろん、おくの細道や八犬伝などもあるようです。

ちなみに、近代文学編というのもあるようで、漱石の「こころ」や鴎外の「舞姫」など出ているようです。


 

さて、「とりかへばや物語」のお話ですが、成立は12世紀末ころ、平安後期と推測されています。

作者は不詳。


 

簡単な粗筋をご紹介すると、



 

男の子みたいに活発で外向的な女君

 

女の子みたいに内気でなよやかな男君


 

という二人のきょうだい(どちらが年上かは不明)が主人公。

 

きょうだい達の父親は、悩んだ末に、性別をとりかえることを決断した。

つまり、女君は男として、男君は女として、世間を欺いて、二人を世に送り出すことにしたのです。


 

タイトルの「とりかへばや」というのは、「とりかえたいな~」という意味だそう。


 

その後、女君は男装して政治の世界に飛び込みます。

誰も、帝さえも、彼(?)が女性だとは露ほども思いません。

 

 

うそ~そんなこと、ありえないでしょう?と思うのですが、

この時代は限りなく優雅で美しい男性が素敵とされていた時代ですから、ありえたのでしょうか??

 

 

美しくて聡明な女君はたちまち皆の人気者となります。

順調に出世し、右大臣家の姫と結婚までします。(但し、肉体関係はなし、、、っていうかできない?)

そして、最終的には右大将にまで昇進します。

 

一方の男君は、女装して、女東宮の尚侍として出仕します。


 

順風満帆のように思われたきょうだいたちですが、、、、、


 

女である事がばれてしまった宰相の中将にレイプされ(ノ゚ο゚)ノ(ノ゚ο゚)ノ


 

そして妊娠ヽ(*'0'*)ツ

 

失踪 ((((((ノ゚⊿゚)ノ

 

出産 (ノ´▽`)ノ


男君、捜索活動開始!

 

女君、発見(゜ρ゜)

 

入れ替わるきょうだい・・・・・・・・・・・

 

そして、二人とも本来の性に戻って再び世の中の表舞台に出てくるのです w川・o・川w


 

その後、男君は女君の地位をそのまま受け継いで、政治家として活躍し、

恋の冒険も楽しみながら、男性としての人生を謳歌します。

 

一方の女君は、帝に見初められ、后となり、子供もたくさん産み、

女として最高の地位を極めます。。。。。が、男君ほど人生を楽しんでいる雰囲気はない。

 

前半の女君は、男姿で颯爽と活躍する華やかな雰囲気でしたが、

後半からは、ちょっとトーンダウンして落ち着いた感じですね~

 

この物語は、きょうだいが主人公とは言え、女君に重きをおいているので、

やはり女君が輝いていない話に華がない??かな??



 

私が元々、「とりかへばや物語」を好きになったのは、大好きな田辺聖子さんが書いた

こちらの本がきっかけです。


 

とりかえばや物語 (少年少女古典文学館 8)/田辺 聖子

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年少者向けにアレンジされたものですが、

この本の中の後書きで、

田辺さんは「女の生き方が問われている」と書いておられます。

 

私もまさにその通りだと思います。

 

女君が世間に内緒で生んだ男の子と宮中で再会するシーンは、とっても悲しいものでした。

子供を捨てるなんて、一母親としては許せない行動なのですが、

でも、この物語においては、女君の気持ちに共感してしまいます。

子供と再会して涙する女君にもらい泣きしながら、心から応援していました。


 

突飛な発想とドラマティックなストーリー展開だけど、奥が深い。

こんな古典もあるんだ~と開眼すること間違いなしです。