100万回の言い訳/唯川 恵
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今回は、友人から借りた唯川恵さん作「100万回の言い訳」です。実は1週間前に読み終えたのですが、日々の忙しさにかまけて感想のアップがのびのびになってしまいました。唯川さんて直木賞作家だったんですね。知らなかったです(;^_^A

物語は、結子、士郎、志木子、陸人、の4人が交替でそれぞれの視点から一人称で語る、というスタイルをとっています。4人のうち、38歳結子と40歳士郎は夫婦関係でこの物語の主役クラス。結婚7年目で子供なし。それぞれ仕事を持って経済的には自立している、所謂DINKSってやつでしょうか?(この言葉もう死語になってる?)準主役クラスの志木子は士郎行きつけの居酒屋で働く未婚のヤンママ21歳で、士郎とは同郷の好から何かと世話になっているが男女の関係はなし。同じく準主役クラスの陸人は、デザイン事務所勤務の結子の同僚で結子より9歳年下の29歳、仕事で結子と組むことになった縁から恋人関係(結子から見たら不倫関係?)に。それぞれの視点から一人称で語るスタイルをとっているため、最初は各々の話のつながりがわからなかったけど、読み進めていくうちに、「お~~この人たちはこんなところでつながっていたのか~~~!」ということが明らかになっていき、随所にサプライズ的な要素が散りばめられている点など、面白い構成の作品だと思いました。

「結婚とは何か?夫婦とは何か?」というテーマの本作品を読んでトッコが感じたこととしては、「男女の関係には必ず決着が求められる。」ということです。ただの友人であれば同性同士でも異性同士でも決着をつける必要はなし、どういう形であれ何となく付き合いは続いていくし、何となく離れていく場合もあるし、、、、。しかし男女の関係では必ずゴールが求められます。お互い独身同士の男女のお付き合いであれば、とりあえず結婚がゴールになるでしょう。結婚後、不倫をしたら?現配偶者と別れて不倫相手と再婚するか、或いは不倫相手と別れて旧の鞘に収まるか、いずれは選択を迫られる羽目になるでしょう。つまり、一生死ぬまで恋人関係でいるって、ホントに難しいんですね。本作品では、陸人が結子との関係を考える時に、ずっと結婚せずにこのままの関係でいたいと望んでいたようですが、結局は無理でした。現在の日本って、男女の関係においては非常に自由度が高くなっていると思うのですが(高くなりすぎて逆に倫理観が問題視されているぐらい)、最後にはやっぱり束縛された関係を求めている、結局は束縛された関係になってしまうというところがとっても不思議でした。

この作品の中で結子が抱いている悩み、葛藤など、トッコはすっごく共感してしまいました。トッコも子供がいなかったらこんな風に悩んでいたかも?結婚10年目くらいの30代女性にお薦めの作品と思います。読みやすいし。もちろん他の世代の方々にも読んでいただいて感想をお聞きしたいです。