amaikazituさん、はじめまして(*^ー^)ノ いろいろ情報交換させていただけたらと思います。どうぞよろしく。

 

さて、前回の本について少し感想など書いてみたいと思います。今日は、「ゴサインタン-神の座」について。これは、篠田節子さんの作品の中で、宗教三部作と言われているものの第二作目になります。第一作目は「聖域」で日本の東北方面が舞台。第三作目は「弥勒」で架空の国「パスキム」(多分モデルはブータン辺り。)が舞台です。そしてそして「ゴサインタン」は前半2/3ぐらいまでは東京のH市(八王子??)の奥の農村部、後半1/3からネパールが舞台となっています。このお話、ホントにテーマを一つに絞れない、いろんなことを深く考えさせてしまう内容で、読んでいる最中に少しも休むことができず、一気に作品の中に入り込んでしまうお話です。あらすじとしては、主人公の40歳独身男性結木がお見合いパーティで知り合ったネパール人女性カルバナと結婚、その後、カルバナの不思議かつ神がかり的な行動で結木家は没落し、全財産を失う。しかし、そんな目にあっても結木はカルバナと別れることはなく、逆に彼女の不思議な魅力に知らず知らず引き込まれていく。その後、カルバナは突然失踪。結木は彼女を探してネパールの山奥まで行き、ついに感動的な再会を果たす。というようなかんじです。

 

まず、この主人公の男性についてなんですが、ホント使えない男なんです。頼りなくて、覇気がなくて、気がきかなくて、情けなくて。彼の家は代々農家なんですが、江戸時代ぐらいからずっと地元の農村を仕切っていてもちろん地元の政治にも関わっていたような由緒ある家、いわば「地元の名士」を多数輩出してきたような家なんです。そんな家に生まれた彼なのに、いや、彼だからかな??家に縛られている自分に不満を抱いていているような、自分はそんな器じゃないのにやらされている、的な思いを抱きながら日々を過ごしているような男性なんです。だから、ネパール人妻がきて家を没落させなかったとしても、いずれ両親が死に、彼が結木家を継いだとしたら、早かれ遅かれ没落する運命をたどったことになるでしょう。DNAが受け継がれていっても、所詮「名家」も永遠ではないんですね。

実を言うと彼は次男で、長男たる兄がいるのですが、この兄はさっさと家に見切りをつけてサラリーマンとなり現在はアメリカに住んでいるという設定になっています。そして、この兄のほうが、ずっとずっと使える男性というキャラクター設定になってるんです。要領はいいし、強いリーダーシップで周囲を取り仕切る能力もあるし、本当なら兄に家を継いでもらえれば結木家は安泰だったのでしょう。しかし、彼は能力があるからこそ、地元の名家とはいえ、農家に縛られることを嫌ったし、要領がよかったからこそ次男に家を押し付けて、さっさと都会に出ていってしまったのでしょう。この辺りは、日本の農家の人材不足について考えさせられる問題です。東京どころか、海外にだってその気になれば簡単に行ける、そんな社会になった今、能力ある人間が狭い農村の長になる以上の可能性を求めることは当然のような気がします。

農業って、自営でやってるとやっぱり儲からないんですかね~??私自身は農家の出身じゃないし、自分で野菜や果物を作ったことなんか全くないから全然わからないんですが。天候に左右されるし、最近では安い外国産がどんどん入ってくるし、ただでさえ食べ物のあふれている今の時代、何も自分たちが生産しなくたって日本はつぶれやしない、って思うと仕事に対する意義を見失ってしまうでしょうね~。

話がだいぶそれちゃいましたが、とにかく結木家は没落します。長くなるので、続きはその2で書きますね☆☆