今回の登場人物
【ぴーきの】
それは冗談なのか?と疑わざるを得ない個性的な喋り方をするタクシー運転手、推定56歳。
本人からするとあれがスタンダードな喋り方である。
(気になる方は私のモノマネを聞きに来るといい)
若い時は車のレースをしていてブイブイ言わせてたらしい(あくまでも自称)
元レーサーとは思えないようなブレーキの踏み方が特徴的である。
当時18歳だったギャルの私からぴーきのと名付けられる。
この運転手に値するくらいぶっ飛んでいる。
そんなぴーきのの人間味溢れる切ないお話…。
私が昔よく送ってもらってたタクシーの運転手さんがいるんだけど。
まぁめっちゃお喋りで寝たい時とか飲みすぎてきつい時とかも容赦なく喋り続けるんだけどさ。
なんでお客のこっちが気を使っているんだ?というくらい容赦なく喋り続けるんだけどさ。
「そういえばぴーきのって結婚しとったと?」
「してましたよっ、別れましたよっ」
「えー!子供は?」
「いますよ、結婚したよ」
「えー!!おめでたいね」
「まぁ180センチくらいあるから見た目はいいですよ」
「えっ息子さんやったと?」
「当たり前でしょう、オカマじゃないよ」
「いや娘さんかと思った」
「娘もいるよ、娘は向こうが引き取りましたよっ
子供たちには可哀想なことをしたなぁと思うよ~」
「子供同士も会ってないと?」
「そうよ~会わせてくれないのよ連絡取れないんですよっ
だから可哀想なのよ」
と、切なげに語る姿を見てこんなおかしい(いい意味で)ぴーきのでも人間の心はあるんだなと悲しい気持ちになっちゃってさ。
是非娘さんに会わせてあげたいな
せめて息子さんと娘さんが再会できればいいな
なんて思っちゃって、私は言ったわけ。
「Facebookで調べて連絡とってみたらいいやん」
「えっ?なんですかそれはっ」
「Facebookをしてたらやけど、名前を入れたらその人と連絡取れるかもしれんよ」
ぴーきのに説明してもだいたい理解してくれないからだいぶ端折る私。
「えぇ~っ!それは結婚しててもわかるの?旧姓でも探せるんですかっ?」
「うーん、その人が旧姓のまま登録してたら検索できるけど、変わってたら厳しいね」
「えぇっ!すごい!じゃあ今検索して!」
私は少し嬉しくなっちゃって。
もしこれで娘さんのFacebookがでてきたらもしかすると本当に再会させてあげることができるかもしれない、と。
ぴーきのの息子さん喜ぶだろうな、と。
「名前は?」
「○○ △子」
物凄い珍しい名字で。
今まで生きてきて出会ったことも聞いたこともネットとかで見たことすらない名字でさ。
下の名前もよくある名前なんだけど漢字がめちゃくちゃ珍しくて。
これはその人が登録してたら簡単に探せるな、とちょっと期待しながら検索したわけですよ。
「めっちゃ珍しい名字やね。
漢字はどう書くと?」
「○○の○に○○の○で~・・・」
「あっ!でてきたよ!しかも1人しかおらんし、多分この人と思う」
「えぇっ!どこに住んでるんですか?東京?」
「いやー、登録してるだけで更新とか一切してないね…」
「え?なに?番号とかわかるんですか?」
「いやそれは個人情報やけん書いてないよ」
「そうですか…」
期待から一転、またもや切なそうなぴーきのを見て私は凄く悲しい気持ちになってしまった。
一応友達申請して、メッセージであなたのお父さんとお兄さんが会いたがってるって旨を送る?って聞こうと思ったくらい。
でもそこまでは大きなお世話だろうし、こんな水着で裸体みたいな写真を大量にアップしている小娘から連絡きてもお父さんの威厳も失われるな、と思ってグッと我慢したの。
「ぴーきの…残念やったね」
「この人はね前付き合ってた彼女なのよ」
ぴーきのォオオオオォォォォオオオッ!!!!
モトカノっつつつつっっつっっ!!!
まさかのモトカノっつつつつっっつっっ!!!!
あんだけ直前まで娘さんの話をしてて何の疑いもなく娘さんと思って検索して!!?????!
なんなら悲しい気持ちにまでなってたのにモトカノォオオオオォォォォオオオッ!!!!!!
しらねぇええええ!!!もうもはやどうでもよすぎて震えが止まりねぇえええぇぇえええ!!!
「は?!ばっくしょう!モトカノ?!」
「え?そうですよっ、千葉に行ったらしいと噂は聞いてたんだけどね~~どこにいるかわからないの?」
いやいや知らん!!!!知らない!!!!
もうわかっても教えない!!!
何モトカノの所在地知ろうとしてんだよ!!!
「娘さんじゃないんかよ!!
ストーカーしたらいかんよ!」
「えぇ?!そんなのするわけないでしょう!堂々と会いますよっ!
この人とはね、レースしてたときに付き合ってたんですよ
僕がね、20から25歳の時だったかな…
…
…
それでね…
…
…」
いやいやいやいやもう語り出しちゃった?!!????!!!!
語り出しちゃったよー!!!青春時代語り出しちゃったぁああ!!!!!
その後もぴーきのはモトカノとの思い出をひたすら語ってましたが私はすぐにこのブログの執筆活動に専念し、一切話を聞かずに自宅へと辿り着きました。
おわり。