12月14日(木)国立ノートランクスイベント報告の後編です。琵琶奏者/音楽ライターの後藤幸浩の選曲・コメント編です!
国立(くにたち)昭和大衆音楽同好会 VOL.4
テーマ:「ロック×ジャズ×ラテン×ファンク…ジャンルぶち抜く60~70年代音楽」
~後藤幸浩 (琵琶後藤) の選曲・コメント~
♬ SANTANA / Carnaval~Let the Children Play~Jugando “FESTIVAL” (1977)
後藤敏章くんの前半ラストは、エディ・パリミェーリの超テンションあがる演奏だったので、サンタナは77年のすっきりした演奏を。
とはいえ、ラテン、ブラジルの要素を絶妙に同居させたこのメドレーはさすが。
ぼくが高校2年のときリリースされ、かなり聞きまくり、ギターのフレイズもコピーしてよくレコードに合わせて弾きました (笑)。‘Jugando’ はカルロス・サンタナ得意のドリアン系モードによる演奏。
スペイン語、英語チャンポンの歌詞はブーガルーあたりを思い出させる。
♬ JOHN COLTRANE / Part1-Acknowledgement
“A LOVE SUPREME” (1965)
超有名曲。ジャズはもちろん、ロック、ラテンなどのジャンルへの影響も相当大きかったのではないかと思う。「リンゴ追分」風のイントロにはじまり (「リンゴ追分」は52年の曲) 、ラテンを軸にしたグルーヴに、ジョン・コルトレインならではのモード遣い…何度聞いても新たな発見がある。
ラテン系の3つくらいのグルーヴを同時に叩き出すエルヴィン・ジョーンズのドラムズは驚異の一言だし、コルトレインのテナー・サックスは音色といい節廻し (フレイズ、じゃないんだよなあー、感覚として) といい、みごとに何事かを “語って” いる。
♬ THE DOORS / The End “The Doors” (1967)
またまた超有名曲 (笑) 。しかし、この曲、コルトレインから直結と言って間違いない。 “A LOVE SUPREME” の2年後でもあるし。ラテンがかったグルーヴに、ちょっとイスラム系音楽を連想させるモード遣い。コルトレインにはウードを入れた録音があったことも思い起こさせる。ジム・モリスンも詩を充分 “語り” 尽くす。
ドアーズは、これも有名な「ハートに火を付けて」も、コルトレイン的要素に加え、ボサ・ノーヴァ的グルーヴ感覚まで取り込んでいる。
♬ FRANK ZAPPA / Inca Roads “One Size Fits All” (1975)
ノートランクスではザッパはあんまりかからなかった気がしていた (自分の居ないところでかかってたかもしれないが…) ので、持って行ってみた。
現代音楽まで含め、ほんとうにさまざまな音楽要素を昇華、綿密な曲構成の演奏が多い。とはいうもののユーモア・批評性・芸能性も充満、ほぼ無敵。演奏も物語性にあふれている。
この曲、ヴォーカルはジョージ・デューク。見かけとは違った甘い声で歌う。ジョージ・デュークといえば、クロスオーヴァー~フュージョンのキイボード奏者。ザッパはこうした技術的に腕の立つミュージシャンの、その技術をイヤミにならぬよう聞かせるのがじつにうまい。デューク、キイボード・ソロも当然聞かせるが、これがじつにスリリング!
ザッパのギター・ソロの部分は、ザッパ独特のモード解釈になっていて、ギターの音色・ピッキングもときおり、民俗弦楽器みたいに響き面白い。このあたりもコルトレイン的かなあ-。
♬ GENTLE GIANT / Just The Same
♬ / On Reflectiom
“FREE Hand” (1975)
ジェントル・ジャイアントはイギリスのプログレッシヴ・ロックのグループ。ジャズ・ロックにトラッド、古楽の要素まで共存させた演奏が面白く、奇数拍子、複合拍子の使い方の巧みさ、キメのアレンジとインプロヴィゼイション、歌のバランスのよさ、演奏の物語性もザッパとも共通する。
‘Just The Same’ はリズムの変化が面白すぎるし、ポップな感覚も充分。 ‘On Reflectiom’ は古楽の要素、得意のコーラス・ワーク 、リコーダーなどの古楽器やヴァイオリンへの持ち替えが冴える。ライヴ映像も、見るとじつに面白い。日本でいうと、ロックの楽器編成のバンドが、途中からいきなり琵琶や尺八の伝統楽器に持ち替える風情。伝統を活かした好例だ。
♬ MAURO PAGANI / Europa Minor
“Mauro Pagani” (1978)
イタリアン・プログレの名グループ、PFMのヴァイオリン、フルート奏者が退団してからの初ソロ・アルバムより。アルバムは、邦題の『地中海の伝説』が通りがいいだろう。
タイトル通り、地中海近辺のリズム、モードを活かしまくった民俗系ジャズ・ロック。琵琶をやっているせいか、一時期、伝統とジャズ、ロックの同居は如何にすれば、という観点でよく聞いた。
本人のヴァイオリン・ソロは鬼気迫るものが。管楽器がオーボエというのもポイントで、コルトレイン的な要素を自分たちの音楽文化の中で消化したソロが素晴らしい。パーカッションの、何拍子というより、言語化したような奇数拍のリズムは圧倒的。他の曲にはブズーキなども入っている。名演、名盤です。
♬ BRIAN ENO / No One Receiving
“BEFORE AND AFTER SIENCE” (1977)
次がスライ・ストーンと聞いていたので、ちと苦しいが、何とか繋がるものを、ということで (笑) 。
ニュー・ウェイヴ系のミュージシャンのプロデュースなどもはじめていた時期で、この曲はトーキング・ヘッズ『リメイン・イン・ライト』にも繋がりそうな、ひねったファンキーさが心地よい。アンビエントのシリーズは別にして、イーノの曲調はじつに幅広い。あんがいスライとも… (笑) 。フィル・コリンズがドラムズで、名手パーシー・ジョーンズがベースで参加。
イーノ先生、自分と同じ誕生日なので、思い入れも結構あります。
