本屋さんで平積にされているのを見て、ずっと気になってた本。
貸本屋さんへの入荷はあったのですが、なかなか順番が回ってこず・・・。
やっと先日借りることができました。
「ナミヤ雑貨店」は、郊外の寂れた住宅地にある雑貨店。
ここの店は、店主が悩み事相談に乗ってくれる・・・ということで、
かつては週刊誌にも取り上げられたこともあった。
が、現在、ナミヤ雑貨店はシャッターを下ろし、廃屋と化していた。
とある家に泥棒に入った3人の若者が、夜明けを待つためこの廃屋に足を踏み入れると、
シャッターについたポストから手紙が舞い込んだ。
それは、ナミヤ雑貨店の店主に宛てた、悩み事相談の手紙だった・・・。
東野圭吾さんは、私的には当たり外れの多い作家さんというのは何度も書いていますが・・・。
この本は、東野さんにしてはめずらしい、ファンタジー系のお話だと、本屋さんのポップで見ていたので、
正直期待半分で読み始めました。
・・・が、これ、大当たりでした!!(あくまでも私的には・・・です。)
5つの章から成るこの本。それぞれ、短編としてもじゅうぶん楽しめます。
でも、さまざまな伏線がそれぞれのお話にちりばめられていて、最後に収束していきますが、
この収束感がとてもいい!!終わり方も爽快で、なんだかんだいっても東野さんてすごいなーと思ってしまいました。
ビートルズファンの私には特に、第四章のお話が刺さりました。
タイトルもズバリ、「黙祷はビートルズで」というもの。
裕福な家庭に育ち、何不自由ない生活を送っていた中学生。
でも、親の会社が傾き始め、今までのような生活が送れなくなるどころか、夜逃げをすることに・・・。
どうにかして夜逃げを阻止しようと、中学生はナミヤ雑貨店に相談の手紙を送ります。
私も夜逃げまではいかないけれど、中学生のときに同じような体験をしているので、
この中学生の状況や気持ちは痛いほどわかりました。
この中学生は、大のビートルズファンでした。
その頃、ビートルズの解散のニュースが世間で話題になってたそうなので、
お話自体は1970年くらいでしょうか。
ちょうど、映画「レット・イット・ビー」が上映されていて、それを観れば、
ビートルズの解散の理由がわかる・・・とファンの間では言われていたそうです。
ビートルズの音楽を聴くことが「生きる」ことそのものであった彼は、夜逃げ当日に
東京まで一人で映画を観にいきます。
映画を観ているうちになんとなーく、メンバーの気持ちが離れているのがわかってきたのです。
とりあえず、仕事だから演奏はする・・・「こなしている」だけ。
もはや、4人の間には何も生まれない・・・と。
でも、結局理由はわからずじまい。わかったのは、既にビートルズは終わってしまったのだということ。
既に、4人の人と人としての繋がりは切れていて、具体的な理由があるわけではないのかも、
心が離れていなければ繋がりが切れそうな事態が起きたとき、誰かがなんとかしようとするはず。
でも、それをしないのは「繋がり」が切れているからだと彼は帰りの電車で考え直します。
彼自身と両親との繋がりも切れつつありました。
そして彼は、夜逃げをしてもこれだけは全部持って行こう・・・と心に決めていたビートルズのレコードを
あっさり友達に売ってしまいます。
それ以来、ビートルズを聴くことはなくなり・・・。
結局、夜逃げの途中、立ち寄った高速のSAで彼は衝動的に逃亡してしまいます。
そして、それ以降、このお話全体の重要な舞台となる児童養護施設「丸光園」で育つことに。
両親の行方も知れず、数十年ぶりに生まれ育った町に来た彼は、とあるバーに入ります。
その店は、ビートルズの曲ばかりをかけてくれるバーで、偶然ですが、そこの店主の女性は、
彼が夜逃げの日にビートルズのレコードを売った友人の親戚でした。
そして、彼はそこで、自分の両親がいかに自分を愛してくれていたかを知るのです。
私が特に刺さったのは、中学生の悩みに真摯に向き合ったナミヤ雑貨店の店主の言葉。
「どうか信じていてください。今がどんなにやるせなくても、明日は今日より素晴らしいのだ、と」という一文。
この一文、サザンファンならピンとくるかも。
桑田圭祐の「月光の聖者たち~ミスタームーンライト」の歌詞の一部。
いやー、ビートルズやら桑田さんやら好きな人たちがいっぱい出てくるお話で。
お話自体も感動モノでしたが、それらによってより刺さってしまったわけです。
東野圭吾さんとサザンといえば、「夜明けの街で」が有名ですよね。
サザンの「Love Affair~秘密のデート」をモチーフにして書かれた小説。
そして、「月光の聖者たち~ミスタームーンライト」は、ビートルズの「ミスタームーンライト」のオマージュとして
知られてますよね。
なーんか、そのへんのつながりも気にして読むと、より面白いです。
それにしても、「明日は今日より素晴らしい」・・・座右の銘にしたい感じです。
