三浦しをんさんの話題作。
辞書を編む人々のお話。
玄武書房に勤める馬締は、営業部では変人として
持て余されていた。
しかし、人とは違う視点で言葉を捉える能力に長けており、
辞書編集部に迎え入れられる。
新しい辞書「大渡海」を刊行するべく、個性的な面々に囲まれながら、
馬締は辞書の世界に没頭する・・・。
辞書って、学生以来、ほとんど手にしたことがないものなのですが、
この本を読んで、新しい辞書を一冊買いたい衝動に駆られました。
辞書をつくることに人生を賭けた、辞書編集者たちの物語。
はっきり言って、貸本屋さんでこの本を手に取ったときは、
「辞書編集?全く興味のない話だけど最後まで読めるのだろうか?」と不安がよぎりましたが、
三浦しをんさんの本であれば間違いないと思い、借りてしまったわけですが、
その判断は正しかったです。
読み始めたら止まらない!!辞書を作ることにこれほど熱い人々がいるんだ・・・というのも
すごく新鮮な驚きだったし、何より、編集に携わる個性的な人々の描写が面白くて、
それぞれに愛着を感じてしまう・・・それなのに、仕事に対する葛藤や苦悩もさらりと
描かれていて、それなりに共感するところもあり・・・。
そして何より、言葉が持つ力、言葉の大切さ、言葉の重さ・・・というのを三浦さんが訴えかけているのが
ひしひしと伝わりました。
あと、普段何気なく使っている言葉が実は一般的に理解されている意味とは若干ニュアンスが違ったりというのも
出てきて、勉強にもなりました。
全般的に笑いあり、涙あり的なお話なのですが、ふと言葉の深さに気づかされもします。
時代の流れによって、意味が変わる言葉や、消えてゆく言葉、さらに新たに誕生する言葉もあり・・・。
言葉は生き物だ・・・というのも、うっすら気づいてはいたけど、確信させられました。
実に、構想から発行まで13年もの歳月をかけて完成した辞書「大渡海」の装丁は、
この本の装丁そのもので、深い藍色にシルバーの文字&イラストがステキです。
そして、紙の質にまでこだわった作り。作中でいう紙の「ぬめり感」がどういうものなのか、
実際手にとってページをめくってみたくなります。
こんなに面白い本だとは夢にも思わず、本当に一気に読んでしまいました。
三浦しをんさんて、小説の題材の着眼点が面白いですよね。
文楽や社史編纂や林業や・・・。地味な世界を魅力的に描かせたら、
もはや右に出るものなしという存在の作家さんだと思います。
