さくさく読書日記-どこから行っても遠い町

W先輩からお借りしました。

「ざらざら」で、ニガテだと思っていた川上弘美さんの世界感が

とても好きになったので、この本も楽しみに読みました。


11編の短編小説からなるこの本。

それぞれ、連作になっていて、前の短編の脇役が、

次の短編で主人公になる・・・という飽きない設定。


あらすじは省きますが、私は、「長い夜の紅茶」というお話が、

特に好きです。

川上さんならではの、さらっとした文体なので、それぞれのお話で、

衝撃的な事件があったり、はたまた、男女の駆け引きがあったりってのが、

本当に気にならない程度にさらっと書かれていて読みやすい。

「長い夜の紅茶」は、ちょっと変わった姑とお嫁さんの話。

言いたいことをズケズケ言って、ちょっと人からは疎んじられてしまうお姑さん。

もちろん、お嫁さんにもそれはズケズケと物を言います。

普通、お嫁さんの立場からしたら最もイヤな姑のタイプ。

でも、お嫁さんは、そんなお義母さんがなんだかんだいって好きなんです。

そんな二人が、真夜中に紅茶を飲みながら、あんな話やこんな話を

さらさらとする・・・というお話。

なんか、月がきれいな真夜中の、いい感じの夜更かし・・・という場面を

想像してしまうようなお話。


全編を読み終えて、やっぱり、この世界観好きだなーとしみじみ思いました。

ワクワクするようなお話はないけれど、じんわり、しみじみと読み進めることができ、

今の季節になんだかぴったりな本でした。

表紙の、谷内六郎さんの絵もいい味出してます。