さくさく読書日記-春情蛸の足


田辺聖子作品をいろいろ調べていて、まず気になったのがこの本。
食べ物と恋にまつわる短編集ということで、人一倍食い意地が張っている私は、
手に取らずにはいられませんでした。


8編のお話が収められているこの本。タイトルには全て「情」の字が使われています。
・春蛸の足(表題作)
・慕きつねうどん
・人すきやき譚
・お好み焼き無
・薄くじら
・たこやき多
・当世てっちり事
・味噌と同


どのお話も、語り手は、すべて大阪のおっちゃん。
みなさんそれぞれ、ある食べ物に人並みならぬこだわりがあり、さらに、つれあいとは、
食べ物の好みが合わなかったり、自分のこだわりをわかってくれなかったりという事情つき。
そんなこんなで、ふとしたことから食べ物の好みが同じ女性と出会い・・・という、
ちょっとオトナの恋のお話となってます。


どのお話も、それはもう食べ物の描写がおいしそうでおいしそうで・・・。
特に、私、くじらは世代的にもあまりなじみのない食べ物で、
何度かこのお話にも出てくる「オバケ」を食べたことがありますが、どうもなんとなく、
臭みが気になっていましたが、それでも、「ハリハリ鍋」はとても食べてみたくなりました。
あとは、すきやき!!
うちは大家族で、しかもごはんの時間はそれぞれまちまちで「家族全員で食卓を囲む」ということが
あまりなかったので、鍋ってあまり登場する機会がなく、すきやきなんてほとんど食べた記憶がないのですが、
東京に出てきて一人暮らしをするようになり、市販の割り下を使ってたまに作ったりしてみるものの、
なんかピンとこない。
関東風と関西風があるのも料理本を見て知ってはいますが、実際、関西風を食べたことって
ほぼないので、今度作ってみようと思いました。
肉を砂糖でまぶして火に通してからめる・・・っていう食べ方、すごくおいしそう!!


食べ物だけではなく、田辺さんの本だけあり、やはり大阪弁がとてもいい。
恋のはじめのワクワクと、大阪の食べ物のよさが大阪弁によってさらに磨きがかかってる感じ。
特に、「味噌と同情」に出て来る、煮物について、大阪では「煮る」ではなく、
「炊く」って言うんですね。
なんか、いいな、「炊く」って。
「煮る」だと、なんだか煮詰まって、色も茶色で濃い味付けの煮物が浮かびますが、
「炊く」って、ほんわかしていて、薄い色でだしの味が際立つ煮物が浮かぶからフシギです。


田辺聖子さん、何冊かまとめて購入してしまったので、まだまだこれから読む本に困らない状況。
すっかりハマってます。