さくさく読書日記-つるかめ助産院


冬休み用に貸本屋さんで借りました。


辛い出生の秘密を抱えるまりあは、失踪した夫の「小野寺君」を探して、

二人の思い出の南の島にやって来る。

夫はどこにもいなく、失望しながら歩いていたまりあに声をかけてきたのは、

島で唯一の助産院、「つるかめ助産院」のつるかめ先生。

悪天候で船が欠航し、島に足止めを食らってしまったまりあに、

船が動くまで助産院で過ごすようすすめる。

そして、まりあは、つるかめ先生から予期せぬ妊娠を告げられるが、

辛い出生を抱えるまりあは、子供を受け入れるべきが否か悩む。

そんなまりあを、つるかめ先生はじめ、助産院の面々は温かな手を差し伸べる・・・。


何の予備知識もなく借りました。

貸本屋さんで本を見て、まず、小川糸さん作であることに注目。

「食堂かたつむり」で、おいしそうなお料理の数々にやられたのと、

食堂のたたずまいに癒されたのとで、きっとこの本も癒し系に違いないと、

勝手に妄想。

さらに、「つるかめ助産院」というタイトルに惹かれ、帯には宮沢りえさんの

推薦文、さらに、南の島を思わせる表紙・・・と、いろんなツボにハマり、

借りてしまいました。

で、読み始めてみると、主人公・まりあの暗いこと、暗いこと・・・。

なんでも後ろ向きな考えをする女子で、最初はちょっぴりイラッとしたり。

でも、失踪した夫・小野寺君を探して南の島にたどり着き、

つるかめ先生と出会い、助産院で過ごすうちに、周りの人々に温かく見守られながら、

前向きな女子へと変わっていきます。

辛い出生を抱えてるゆえ、人と接することを極度に避けてきたまりあ。

でも、南の島の人々は、そんなことおかまいなしに、彼女に接してきます。

そんな中で知る、人の優しさや温かさ・・・。

つるかめ先生はじめ、つるかめ助産院のユニークなメンバーには、読んでて本当に

癒されました。いい人ばかり。でも、みんなそれぞれ、まりあのように、つらいことや

苦しいことを内に秘めている人々・・・。

そして、助産院での妊婦さんたちの出産シーンは、リアルで圧巻です。

「食堂かたつむり」は、主人公が同棲していたインド人の恋人に、家財道具も、

貯金も持ち逃げされるところから始まりますが、この本も、まりあが夫の小野寺君に

失踪されるところから始まります。

流れ的には、どちらのお話も、喪失から再生・・・という感じでしょうか。

いろんな人に出会って、優しさに触れ、癒されていく・・・という感じ。


・・・と、ラストまで、癒されつつ、いい気分で読み進めることができたのですが、

最後の最後がとても残念。

あまりにも唐突な出来事が発生して、せっかくのお話が台無しだよ・・・って思いました。

結果的には、幸せな終わり方なんだけど。

なんだか、納得いかないというか・・・。


でも、南の島の空気に触れたようで、穏やかで、優しい気持ちになれる本でした。

それゆえ本当にラストは残念・・・。(しつこいけど。)

南の島方面ってイマイチ苦手なんですが、この本を読んだら、ちょっと行きたくなりました。