さくさく読書日記-元職員




「悪人」が印象深かったので、吉田修一さんの

「悪」系の本を読みたくて、図書館で借りました。




栃木県の公社職員・片桐は、バンコクを訪れる。

そこで、津田武志という現地在住の日本人青年と出会い、

ミントという娼婦を紹介される。

ミントと二人、バンコクの町を彷徨う中で、片桐の秘密が

次第に明らかになっていく・・・。




・・・なんだか「悪人」がよかっただけに、ちょっと物足りない読後感。

ことの始まりは「514円」なんです。

片桐は、公社で経理の仕事に就いていて、現金の管理を任されています。

ある日、金庫の現金を数えていたところ、どうしても514円多い・・・。

私も経理の仕事をちょっとやっているので感覚的にわかるのですが、

多くても少なくても、帳簿と1円でも合わないとものすごく気持ち悪いんです。

というか、合わないわけはないんだから、どうして合わないのか追求しなければ・・・なのですが、

片桐は、しばらくそれを放置してしまいます。

そして、ふとした出来心で、その514円を使ってしまうんです。

そのお金で買った文庫本は結局読むこともなく忘れてしまう・・・。

そこから始まった「使い込み」。

もはや、なんとかなるような金額では済まないほど膨れ上がってしまいます。

普通に仕事に出ているものの、日々、いつバレるのか・・・と、戦々恐々としている毎日。

さらに、同じ部署に新しい人が入ってくるというウワサもあり、バレる確率が高くなり、

よりドキドキしている毎日・・・。

そんなとき、妻と約束していたタイ旅行が迫っていたのですが、うすうす彼の不正に気付いていた妻は、

突然キャンセル。

結局、片桐一人でタイに旅立ちます。

偶然出会った現地に住む日本人青年から紹介された娼婦を伴って、

贅沢三昧。でも、日本に帰る日は刻一刻と迫ってきています。

タイに来る前は、まだ、良心の呵責に悩んでいた彼ですが、

なぜかタイから帰る時になったら開き直ってしまっていて・・・。




「悪人」もそうでしたが、この本も、普通の善良な人が、ある日、

ちょっと魔がさして犯罪を犯してしまい、それを境にズルズルと悪い方向にいってしまう・・・ので、

誰にでも起こり得ることという点では、ちょっと怖いなーと思って読みました。


・・・が、やっぱり「悪人」のインパクトが強かったので、これはなんだか薄い感じ。

それでも一気に読めてしまいましたが・・・。

もうちょっとガツンとしたものを期待していたので、ちょっぴりイマイチ感が残ってしまいました・・・。