さくさく読書日記-しあわせのねだん

角田光代さんは、家計簿名人だそうです。

なんでも丼勘定な私は、それだけでも尊敬。

経理やってるくせに、自分のお金の管理はニガテでして・・・。

そんな角田さんのお金にまつわるエッセイ。

これも面白かったです。

印象に残ったものをいくつか・・・。


<イララック 1500円>

自分でも恐ろしくなるくらい、角田さんは短気だそうです。

こんなに短気な人間を野放しにしておいていいのか・・・と思うほど短気なのに、

なんのトラブルもなく平穏に暮らしているのは、短気でありながら小心なことと、

素が泣き顔・・・という見た目のせいであろうと分析しています。

ある日、魚を買いに行ったら、小学生の子供を連れた母親が子供にさんまを選ばせていて、

後ろにさんまを買いたい人の列が連なり始めているにもかかわらず、

「いいのよ、そんなもの気にしないでゆっくり選びなさい。」と平然として言う母親に、

猛烈にムカつき、一人で毒づきながら帰ってしまった話が面白い。

私も角田さんと同じく、「こんな短気な人間を野放しにしておいていいのか」ってくらい短気で、

角田さんの気持ちはよーーーくわかります。

私は、たぶん、一人で毒づかず、直接本人に心情を訴えてしまうと思います・・・。

もっとタチ悪いです。

そんな短気な私達(すっかり仲間)に朗報!!なんと、イライラを鎮める薬が出ているらしい。

その名も「イララック」。1500円也。

しかし、そんなもので短気を治そうとしていいのか???結論としては、瞬発に怒りを

判断するのが先決・・・ということで落ち着いてます。

ちょっと惹かれる薬ですが、角田さんの意見に賛成・・・な私です。


<すべすべクリーム 4500円>

女性雑誌に載っていた「夜にかけるスキンケアの平均時間」という記事を見て、

一般婦女子よりもずぼらだと確信した角田さん。

これはいかんと思い、「輝かんばかりの女になる」と誓い、早速化粧品を求めに

デパートへ。

しかし、ずぼら女ゆえに、欲しい物がなかなか定まらない・・・。

さんざん化粧品コーナーのおねえさんを翻弄した挙句購入した4500円の

「すべすべクリーム」。

しかし、結局ずぼら女には一般婦女子のスキンケアは向かないという結論に至る・・・。

これも私、心当たり大ありでおもしろかったです。

雑誌見てると、スキンケアに30分・・・とかって載ってるんですよ。どこをどうやって

お手入れすると30分になるのだろう???私は5分もあれば完了・・・立派なずぼら女です。

なので、たまにそういう記事を見ると、すぐに触発されて私も角田さん同様、すぐに

デパートの化粧品売り場をさまよいます。そういうフットワークは軽いんです。

そして、買ってから2~3日はワクワクしながら、それこそ「輝かんばかりの私」を

あれこれ妄想しながらお手入れに励むわけなんですが・・・。

はぁぁ・・・やっぱり根がズボラだと、美意識も強くならないんですよね・・・。


<記憶 9800円×2>

角田さんは、毎年お母様の誕生日に温泉旅行をプレゼントしていたそうです。

ある年のお誕生日、猛烈に忙しかった角田さんは、ネット検索で探し当てた、

1泊9800円(豪華松茸コース夕食付き)の宿を申し込みます。

そして、いざ旅立って旅館に到着すると、それはそれはおんぼろな旅館だったそうで・・・。

「豪華松茸コースの夕食」と謳われていた夕食も宿のおんぼろさに比例するような

代物・・・。

お母様は、角田さんの前で思い切り宿についてや夕食についての文句を言い、

旅行についてリクエストはあるかと聞いたときは幼子のごとく、無力・無意思だったのに・・・と、

だんだん腹が立ってきたところに、宿の仲居さんから、「毎年誕生日に温泉旅行に連れ来てもらうって、

お母様、とても喜んでましたよ、親孝行なんですねー。」と言われ、怒りが収まったそうです。

お母様が亡くなる年のお誕生日は入院のため、温泉にはいけなかったそうです。

そして、お誕生日のあと、たった9日生きただけでお母様はお亡くなりになったそうです。

お母様と二度と温泉旅行に行けなくなってしまった今思い起こすことは、

親とこどもはおんなじことなんだな・・・ということだそうです。

子供の頃は、親が決めた旅行に無力・無意思でただついていく・・・そして、いざ見知らぬ土地に

行って気分が落ち着くとあれを買えだのこれが食べたいだの・・・。

そうやって、親と子は子供が大人になったときにその役回りを交代するのだと・・・。

それが角田さんにとっては幸せなことだと思うのだそうです。

ちょっとじーんとくるお話でした。


・・・と、面白いお話ばかりでひとつを選ぶのは難しすぎて、3つ書いてしまいました。

長々とすみません。