さくさく読書日記-彼女のこんだて帖


最近、角田光代さんのブログ (既に終了してますが)を発見し、

けっこう熱心に読んでしまってます。

で、その中に、料理教室で有名なベターホームとタイアップして、

食べ物にまつわる小説と、その小説に出てくる料理のレシピを掲載した本があるということで、

興味を持ち、図書館に予約してみました。

角田さんの日記は、飲んだ食べたという内容が多いのですが、

そこに出てくる料理がけっこう美味しそうで・・・。

角田さんの食に対するポリシーがこのブログで伝わってきて、

そういう人が書くのなら、きっと魅惑的なお料理満載なんだろうな・・・と・・・。


恋にまつわる短いお話15話と、そこに登場する食べ物・・・。

中でも印象に残ったのが、5話目の「漬物名鑑」というお話と、

11話目の「豚柳川できみに会う」というもの。

ちょっと紹介します。


<漬けもの名鑑>

町を歩いていると、向こうから歩いてくる女性の大半は、

主人公知香子の彼氏・晶を見てはっとした顔をする。

それくらい晶はカッコいいのだが、次の瞬間、一緒にいる知香子に目を移し、

「へぇぇ」という顔をする。「この程度の女でも大丈夫なんだ。」・・・という視線。

知香子はそんな中で、晶に対して劣等感を抱いている。

加えて、電話で話しただけの晶の母は、女優みたいな若々しい声をしていて、

きっと自分の母親のように年がら年中ウエストがゴムのズボンをはいてるおばさんとは

根本的に違うんだろう・・・と、そこでまた劣等感を持っている。

ある週末、知香子の部屋で晶と過ごしていたところ、田舎の母親から荷物が届く。

母親について劣等感を持っている知香子は、その荷物を晶の前で開けたくなくて、

どこかに隠そうと思うのだが、結局見つかってしまい、開けるハメに。

中からは、煎餅だの蕎麦だの鰹節だの漬け物だの・・・知香子が思うところの

所帯じみた荷物が次々と出てきて、晶を感心させる。

特に、知香子が一番恥ずかしいと思っていた母お手製の漬け物類に晶は感動する。

そして、それをおかずに、土鍋で白米を炊いて夕食にしよう・・・と晶が提案する。

いつもは邪魔臭くて、おしゃれじゃなくてはっきり言って迷惑とさえ思っていた母からの

漬け物が、好きな人と、お皿に少しずつ盛り付けて食べてみると、いつもより上等な

漬け物に思え、初めて母の漬け物の美味しさを知ることになる・・・。


・・・このお話はカッコいい彼氏にコンプレックスを持っている彼女のお話。

出てくるお漬け物が美味しそう!!

このお話についてるレシピは、梅干とぬか漬け。私、梅干漬けてみたいので、

興味津々で読んでしまいました。


<豚柳川できみに会う>

酒屋の店主である星野秋男は、周囲にナイショで料理教室に通っている。

2年前に妻を亡くし、家の周りにはコンビニもファミレスも飲み屋もラーメン屋も

ひしめきあっていて、外食をするには不自由のない環境なのだが、妻がいなくなってから、

日に日に恋しくなる料理があった。今まで料理は妻まかせで、米もといだことのない秋男は、

その料理がどんな料理すらもうまく説明できない。

そこで、料理教室に通い、基礎を学び、その料理の手がかりを探そうとする。

料理教室が楽しくなってきたある日、突然その料理がなんだったのかわかり、

材料を買って作ることに・・・。そして遂に、ずっと食べたかった料理が完成する。

それを食べながら、秋男は妻がいかに毎日美味しいものを自分に食べさせてくれたのかに気づく。

生前、妻はよく自分の作った料理について「おいしい?」と聞いてきた。

それに対して自分は、きちんと「おいしい。」と言っていただろうか?

不安になった秋男は、「おれはこんなにおいしいものを食べていたんだなぁ。」と、

つい大声で言ってしまう。

妻が作ってくれたいろいろな料理を思い浮かべ、どんなレストランでも食堂でも、

決して食べることのかわないものの存在を改めて思うのであった・・・。


・・・これは、すごくじーんときました。

当たり前のようにおいしい食事をいつも作ってくれた奥さんを亡くし、

改めてその料理がもう食べられないんだ・・・と気づく主人公。

切ないけど、とてもいいお話です。

レシピが載ってた、「豚柳川鍋」もとても美味しそうです。


この本、購入しよう・・・。小説に出てくるお料理・・・レシピが載ってることで、

リアルに思い浮かべられて、とてもよかったです。