鬼畜

<本>


鬼畜DVD

<DVD>



本屋さんで、松本清張の「映画化作品集」を売っていて、
絶対昔読んだことがあるにもかかわらず、ついつい購入してしまいました。
「鬼畜」・・・いつ見てもインパクトのあるタイトル・・・。
同時に映画のDVDも借りちゃいました。


夫婦で印刷屋を営む主人公、竹下宗吉。
順調にいっていた商売が、火事を起こしたことと、
大手印刷会社参入により、傾き始める。
小金が貯まっていた宗吉は、行きつけの鳥料理屋の店員、菊代を囲い、
3人の子供をもうけていたが、商売がうまくいかなくなってからは、
生活費も入れられず、とうとうある日、怒った菊代が3人の子供と共に、
宗吉の自宅へ乗り込んでくる。
そこで初めて全ての事実を知って激昂した宗吉の妻、お梅と口論した挙句、
菊代は3人の子供を置いて蒸発してしまう。
お梅は、宗吉と子供たちに当り散らし、地獄の毎日が始まった・・・。


愛人との間にできた子供を突然3人も押し付けられ、生活は苦しいわ、
ダンナの裏切りは許せないわ、この、主人公宗吉の妻お梅、相当ショック&
やり切れないキモチでいっぱいだったんだろうな・・・ってのはわかります。
でもね、子供に何も罪はないと思うのです。
3人の中で一番小さな次男が、栄養失調で死にかけて寝てるところに、
ビニールシートが落ちて死んでしまいます。これ、故意か偶然か曖昧に表現してますが、
きっと、お梅の仕業に違いない・・・と思わせる書き方をしてます。
そんな妻の暴走を、宗吉は止めることもできず、かといって、子供たちをかばうこともできず、
間に挟まれるうちにだんだん子供たちが邪魔になってきます。
次男が死んだときに「あんたもひとつ気が楽になったね」とお梅が宗吉に向かって言うのですが、
宗吉はその言葉にゾーッとしつつも、ちょっと安心しちゃったりするんです。
次男の死を機に、今度は長女を遠くへ連れてって置き去りにし、残るは、しっかり者の長男を
どうにかするのみになります。
6歳で、しっかり者なので、置き去りにしては戻ってきてしまうだろうと考え、
殺すことを決意します。

最初は毒入りのパンを与えたりするのですが、「やだ、きらい!!」と、
受け付けてもらえず、最後は、旅行を装って遠出し、崖から落として殺害します。
でも、長男はよほど強運の持ち主なのか、確かに崖から落ちたはずなのに、

途中の木に引っかかってるところを発見され、救助されます。

警察で親のことを聞かれても、一切口を割らず、捜査員達は困惑するのですが、
長男が持ち歩いていた遊び道具によって身元が判明し、宗吉も逮捕されます。

どうなだめてもすかしても、自分の素性に繋がることは一切しゃべらないその姿に

心動かされます。


3人の子供が本当に宗吉の子かどうかわからない・・・ということをお梅に吹聴され、
宗吉はだんだん、自分が父親であるという自信がなくなってしまうのですが、
それにしても子供にこんなひどい仕打ちをしちゃうって・・・まさにタイトル通り、
「鬼畜」です。
お梅にしても、いくら、夫が裏切って愛人に生ませた子であっても、
その憎悪をすべて子供に向けるのは、やっぱり違うと思うし、同じ女として、
私には理解できませんでしたが・・・。


映画では、宗吉を緒形拳さん、お梅を岩下志摩さん、菊代を小川真由美さんが演じています。
岩下さん、ハマり役。
あの、クールな美しさがお梅の冷酷さにぴったりで・・・。
原作に忠実に描かれているので、小説を読み終わってすぐに映画を見たのですが、
とても自然に鑑賞できました。


幼児虐待・・・というニュースを耳にすることの多い今の世の中だからこそ、
もう一度こういう映画や小説が見直されるべきなのかもしれません・・・。