ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画というと、「ニューシネマパラダイス」や、

「マレーナ」など、美しい風景の中での切ない物語・・・というイメージがあります。

この映画も、上映してたときに、なんとなく気になってたんですが、

内容はまったく知らず、今回DVDを借りるときも、「また美しい風景が多くて癒されそう」と、

軽い気持ちで借りてみました。

最近、疲れてるので、そういうもので癒されたい・・・と思ったんです。

・・・が、予想をはるかに裏切る内容で、重いわ、暗いわ・・・あまりにもイメージと

かけ離れててびっくりしてしまった作品となりました・・・。


北イタリアの、トリエステという港町に現れた女。

名前はイレーナ。

彼女がやって来た理由を知る人は誰もいない。

逃れられない過去、ひそやかな願い。裏窓から盗み見る向かいの家の明かり。

イレーナは、裕福なアダケル夫婦と4歳の娘テアが暮らすその家のメイドとなった。

何に復讐するのか、何を償おうとしているのか。

執拗につけ狙う忌まわしい男の影、テアとの間に生まれる仄かな愛情。

そして、遂に起こる事件・・・。


・・・しょっぱなから、下着姿の女性がたくさん登場して、なにやら怪しい雰囲気・・・。

今までのトルナトーレ映画とはなんだか違うな・・・と思いつつ、

フラッシュバックのようにたびたび写る、暴力的なシーンや、

イレーナのミステリアスな過去や存在感に惹かれて、ついつい見入ってしまいました。

すごい過酷な人生を歩んできたイレーナ。

ネタバレになっちゃいますが、彼女は、ある組織で、

12年間に9回の出産をします。

生んだ子供をそのまま売買する組織。

実際にあるらしいです、そういう組織が・・・。

生まれた子供のことはすぐに忘れなきゃいけない・・・それって、きっと、

母親にはとてもつらいこと。

イレーナはそれが耐えられず、最後の子供を引き取ったアダケル夫妻の家の

メイドになり、自分が生んだと思われる、テアとの交流を深めます。

過去がありそうで、いつも険しい顔をしているイレーナが、テアを見る目には、

慈愛がこもっていて、とても優しい目つきになります。

この映画のテーマでもある「母性」が、その演技でより深く描かれてる気がします。

同じ女性として、イレーナのしたたかな強さや、愛情の深さに頭が下がる思いがしました。


舞台も、今までのシチリアなどののどかな町ではなく、

北イタリアのいかにもこの物語にふさわしい、港町。

何もかもが、イメージと違っていてある意味新鮮でした。

私はどちらかというと、シチリア方面の風景の方が好きですが・・・。


ラストで、この重い物語にちょっとだけ明るい光が当たります。

ここ、けっこうそんなつもりなくても泣けちゃう・・・。

エンニオ・モリコーネの音楽も、映画を盛り上げていて最高です。


私のように、監督の名前で借りてしまうと、あまりのイメージの違いに

びっくりしてしまうかもしれないので、ちょっぴり下調べをして見ることを

オススメします。