ハマりついでに貸本屋で借りた、瀬尾まいこさんの本。
これって、映画化してますよね?
「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」という、
面白い書き出しで物語は始まります。
え?何?どういうこと???という感じで、
読み進みたくなります。
中原家は、教師であるお父さんと、農業に従事する兄の直ちゃん、
物語の主人公佐和子の3人暮らし。
毎朝、決まった時間に家族揃って食卓を囲む、
どこにでもある幸せな家族。
でも、そんな家族にも、問題があります。
原因は、5年前のお父さんの自殺未遂事件。
これをきっかけに、お母さんは家を出て、近くでアルバイトをしながら
一人暮らしをしています。
佐和子もその現場を目撃してしまい、それ以来、
事件が起こった梅雨時になるとPTSDに悩んでいます。
兄の直ちゃんは、唯一、この問題から遠い存在のように
思われますが、実は「真剣さ」を捨てることでやっと生きているという
状態・・・。高校を一番の成績で卒業したにもかかわらず、
大学に行かないで、農業をしています。ちょっと痛々しいです。
・・・既に、この時点でこの家族はじゅうぶん崩壊してるのですが、
規則正しく、朝の食卓を囲むことによって辛うじてバランスを保ってる状況。
物語は、この家族を取り囲む人々(佐和子の恋人の大浦くんや、直ちゃんの
恋人小林ヨシコなどなど)もまじえて、進行していきます。
余談ですが、大浦くん、とてもステキな男の子です。
前回私が読んだ、”卵の緒”もそうでしたが、
主人公の視点から淡々と描かれており(今回は佐和子)、
ショッキングな事件も後味が悪くなくさらっとしています。
お父さんの自殺についても、重くはなく、本当にさらっとした感じ。
・・・が、最後はあまりにも衝撃的。
その事件は突然起こるので、その直前までほほえましく思っていた気持が、
どーんと突き落とされる感じです。
でも、大切なものを失くしたときに、逆に得られるものもあるということが
最後の衝撃的な事件を後味悪くなくしています。
人間は一人じゃ生きていけない・・・なんてよく言いますが、
この本を読むと、本当にそうかも・・・と思います。
気付かないところで、いろいろ守られてる・・・一人の人を
たくさんの人たちが取り囲んでる・・・っていうことを、
じんわり、心に染みるように書かれてます。
重い事件が軸になってるにもかかわらず、最後の事件が
とても衝撃的にもかかわらず、読後感は温かい気持に包まれます。
余談ですが、”卵の緒”同様、この小説も、食卓に上る食べ物が
とてもおいしそうに書かれてて、思わずそれらしきものを
作ってみたくなりました。特に、シュークリーム・・・。
映画の佐和子役って、北野きいさんなんですね。
私のイメージとぴったり。
こちらも是非見てみようと思います。
瀬尾まいこさん、次は何を読もうか・・・本屋さんに
行くのが楽しみです。
