久々に江國さんの本を読みました。私は一人の作家がいいって思うと、その人の本をすべて読破しないと気が済まないところがあって、江國さんもかなり前、とてもハマったことがあります。その中で特に好きだったのが、『きらきらひかる』と『落下する夕方』でした。今回読んだ『ぬるい眠り』は、『きらきらひかる』の10年後を描いたものなど、9編の短編集となっています。この中で私が一番好きな物語は、“ラブ・ミー・テンダー”です。エルヴィス・プレスリーを熱愛している母。三十路を越えてからハマったため、遅咲きの狂い咲きといった、まさに重傷である。ファンとか、そんななまやさしいものではなく、プレスリーは母の人生そのもので、それゆえに父とは何度となく離婚の危機があった。でも、結局何事もなく晩年にさしかかっている。最近、母のエルヴィス病がずいぶん悪化してきており、天国から夜の12時に電話がかかってくるのだと言う。実家に帰った娘に、今夜一緒に電話に出ようと誘うので、娘は母の痴呆を気にしつつ、付き合うことにした。…が、時間を過ぎても
結局電話はかかってこず、あきらめることにする。自宅へ戻る道すがら、娘は大通りの電話ボックスで父がパジャマにジャンバーを引っ掛けた姿で大きなラジカセを抱えて電話する姿を見かける…。
…今日は会社でムカムカすることがあり、それが残ったまま読んだせいか、ちょっと泣けてしまいました。愛ってこういうこと?なんか、心がほぐれてくのがわかりました。偶然、うちの母もエルヴィスファンなので、余計感情移入しちゃって。世界一テレ屋な父はこんなこと絶対しないと思いますが…でも、こういう夫婦はいいなぁ。私もダンナとこういう夫婦をめざしたいです。お互いを思いやる愛情って、ステキだなと思える作品でした。