愛してる
キミ がルールを破った。
怒っているわけじゃないんだ。
キミが取り決めを破るなんてひどく珍しくて、
僕は少し驚いただけだよ。
それは、キミが見た夢のせいだってこと
僕には分かっているよ。
キミの見た夢も僕は知っている。
当たり前じゃないか、僕とキミとは一心同体なんだから。
もちろん、キミの胸の痛みも分かっているよ。
愛してる。
キミはその一言が言えなくて
夢をまだひきずっているのかな。
それがキミの後悔なのかな。
でもね、愛してるの一言が言えれば、
夢の中の僕とキミとは離れずにすんだのかな。
それはきっと、間違いだ。
愛してる。
そんな言葉がなくなって、
離れられないのが愛してるってことなんだ。
僕はそう思うよ。
夢の中で僕がキミと離れたのは
きっと愛し方が足りなかったせいなんだ。
だって、愛してるのに離れるなんておかしいじゃないか。
僕とキミとは一心同体だ。
どちらかが欠ければ、きっとバラバラに壊れてしまう。
そうだろう?
言葉がなくたって心配いらない。
だから、安心しておやすみ。
ああ、キミはもう寝てしまったね。
キミはこれをいつ読むだろう。
最近、キミは寝ていることが多くなったね。
寝ているキミにそっと言おう。
愛してる。
だから、安心しておやすみ。
ショートケーキ
満場一致。
違うな。
僕とキミ との二人しかいないのに
この言葉は相応しくない。
一心同体。
そう、この言葉こそが僕らに相応しい。
ショートケーキ。
僕らが最初に選んだ実験テーマはこれだ。
テーマは何にしよう、好きな食べ物にしよう。
じゃあ、
ショートケーキ。
僕らの思考は重なったよね。
僕とキミとは一心同体なんだから、
それは当然のことだよね。
けれどもさ、僕の感じているそれと
キミの感じているそれは本当に同じなんだろうか。
僕たちが共有しているのは
「好物」という感覚、それだけなんじゃないかな。
僕は不安に思うよ。
例えば、そう例えば。
ショートケーキのどこが好きなのか聞かれたら、
僕はなんと答えるだろう。
味。
確かに。
僕は男のくせに甘党で、
あの濃厚な甘さには格別の感情を抱いてしまうな。
けれども、カタチも好きなんだ。
ホイップの白色にイチゴの赤。
どこかしら、狂気を感じさせる配色じゃないだろうか。
調和しているようで調和していない。
イチゴは一部はショートケーキの一部をなしているような
顔をしながら、実は存在感を強烈に主張している。
完全に調和がとれているとは言えないよね。
不完全さが美しいのかな。
それでも、食べていくうちにホイップとイチゴは交じり合うんだ。
口の中で、
なんて僕はそんなありきたりなことは思わない。
もともと僕は味覚音痴だからね。
味覚はキミのほうがずっと優れている。
イチゴにフォークを立てたときにイチゴから湧き出る果汁が
ホイップに交じり合う瞬間が僕は好きだ。
このとき、本当にホイップとイチゴは調和するんだよ。
視覚的はね。
視覚的には。
そうだ。僕は、スポンジの存在を忘れていたよ。
僕は、ホイップを甘めにしてスポンジの甘さを抑えた
ショートケーキが好みだ。
これは、キミも一緒だよね。
スポンジはあくまでも、ホイップとイチゴとの緩衝材でなければだめだ。
自らの存在を主張してはいけないんだ。
それって、このブログに似ていないかな。
僕はキミの思考の残像がわかるけれど、
キミの思考を手に取るようにわかるのは
今はブログだけだよ。
キミはねぼすけだからまだ寝ているね。
テーマを決める時だって、まだ夢うつつだったじゃないか。
本当にキミはねぼすけだ。
今からキミを起こしにいくよ。
はじまり
さあ、実験の始まりだ。
僕とキミ とは一心同体。
感じることも同じだろう。
だが、本当にそうなんだろうか。
僕はたまに疑問に思うよ。
感じることは同じでも、僕とキミとでは
表現方法が全く違う。
だから、実験してみよう。
ルールはこうだ。
僕とキミとは同じタイトル、同じテーマで記事を書く。
タイトル、テーマを決めるのは僕だ。
書く順番はどうでもいい。
ただ、お互いに書き終えるまでブログを見てはいけないよ。
カンニングはなしだ。
キミはきっと、なぜブログなのか聞くだろう。
ノートではダメなの?
きっとそう聞くはずだ。
それではダメだ。
だって、それでは記録が残ってしまうだろう。
カタチとして残してはいけないんだ。
でもね、これは僕の言い訳。
ブログの開設が容易だっただけだよ。
書き込むのも、ほら、ご覧のとおり楽だろう。
さあ、実験を始めよう。
