私はアニメをあまり見ないので、昨年GHOST IN THE SHELL(攻殻機動隊)の実写版の映画が公開されるまで、押井守という名前は聞いたことがあったが作品を見たことがなかった。
昨年ハリウッドの実写版を見てから、オリジナルのアニメが気になり、ツタヤでDVDを借りて何話か見た。
先日、本屋で押井守という名前と「ひとまず信じない」という興味を掻き立てるタイトルに惹かれてチラッと中身を見ると、「アンドロイドと人間を区別するものは何か?」という一文が目に止まり、早速買って読んだ。
上記の映画でも、スカーレット・ヨハンソンが演じる女性は、実は亡くなった日本人女性の記憶や人格が移植されており、これは機械の身体をまとった日本人女性なのか、日本人女性の記憶がプログラミングされたアンドロイドなのか、考えさせられる。
これまでは、コンピュータの性能が人間の脳より劣っていたため、感情の有無などで区別出来たのだろうが、コンピュータの能力が人間の脳を超えるシンギュラリティの時代になれば、感情でさえコンピュータが表現できるようになるかも知れない。
こんな、哲学好きには、堪らない考察が繰り広げられる。
幸福論も、ユニークだ。
幸福は何か?という所から始まり、幸福は人により異なる、というよくある展開になるが、著者はさらに、「多くの人は自分のことを誤解している」と主張している。
そして、複数の人格を持つことを勧めている。それは、社会的な自分と家族との自分、そして固有時の自分の三つの人格である。
仕事論も面白いし、政治論はやや過激とも言えるが歯切れが良い。
その他、ニセモノ論、人間論、映画論などが論じられているが、通読すると、この押井守という人物は単なるアニメ屋でなく、哲学者なんだなということを強く感じた。
月並みな幸福論に物足りない方には、考えさせられる一冊です。
