1989年12月19日、日経平均3万8915円。

50歳半ば以上の証券マンは、頭に刻まれた日付と価格であり、書店でこの本の表紙を見て、読みたい気持ちを抑えられなかった。

当時自分は大手証券会社の営業企画部にいて、一応バブル崩壊の経緯については、自分なりに理解しているつもりだったが、著者は、元野村投信のファンドマネージャーだけあって、先物取引の登場による価格形成への影響など、自分が意識しなかった要因を提示している。

どうしてバブルが発生したかも、第二次石油ショックによるインフレ、そして金利上昇、ロクイチ国債の暴落と、新規の国債購入を促すための特金、ファントラの簿価分離政策という記述も、特金・ファントラが所与だった自分には、新しい発見だった。

そして、何故1898年12月29日にピークを打ち、その後下げに転じたかの記述については、特に大蔵省が出した「営業特金廃止」通達を真犯人と特定している点は、的を射ていると言わざるを得ない。

著者が多面的に分析している様々なバブル崩壊の臨界状態が、あるキッカケで崩壊が始まり、連鎖的に下げを誘発したということだろう。

ピーターリンチが「バックミラーで未来は見えない」と言った通り、証券マンは後知恵よりも未来志向を重視する傾向が強いような気がする。

今から振り返ると、昭和60年代前半のバブル相場は、現物株式の仕切り嵌め込み営業やクローズ期間有りの単位型投信、営業特金など、大手証券が力で市場を動かせた時代のクライマックスだったのかも知れません。