乗換途中の秋葉原の駅内書店で、このタイトルを見て、おもわず手に取りました。タイトルから、如何に効率的に働くかの経営本だと思って買ったのですが、読んだら全く違いました。

 

著者は、大手外資系コンサルティング会社でM&A業務に従事し、その後独立して会社を設立し売却した方で、「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?」など多くの本を書いています。

 

この本で一番印象に残っているセンテンスは、「圧倒的に稼ぐ人が実行しているたった一つの事は、本質を考え抜き、たった一つの最も重要な因子を見つけて、それに注力すること」という一文です。また、M&A業務においても、企業価値評価においては、最も本質的な価値の源泉は何かを見抜くことが最も大切だと言っています。

 

問題解決においても、表面的な問題をつぶして行くのではなく、問題の本質を見抜くことが最も重要であり、それは論理的思考の領域を超えて芸術の領域に入るとのことですが、最近、幹部候補社員をMBAではなくアートの大学に派遣することが一つの流行になっているそうですが、これも無関係ではないのかも知れません。

 

もう一つ、印象的な主張は、「お金は信用へと回帰する」とし、「お金よりは信用を貯めよ」いうものです。クラウドファンディングにおいては、より多くの人から好かれ、共感され、功徳を積んでいる人ほどお金を集めやすいとのこと。そのバロメーターとして、SNSのフォロワー数なども、個人の信用を格付けするインフラになると主張しています。

 

話題は、人の幸福は何かにまで話が及びます。幸福の半分は、自分の天才性に気付き、それを発揮しているかどうかで決まると書いています。因みに、教育(エデュケーション)という言葉は、ラテン語の”EDUCO”から転じたもので、人間の内部にもともと備わっている才能を「引き出す」という意味だそうです。

 

この本は、これからのAIの時代に向けて、知識の重要性は低下し、「考える力を鍛える」ことが重要になり、そもそも考えるとはどういうことなのか、という非常に本質を考えさせられる本であり、経営コンサルタントなどの考えることを職業とされている方には、いい刺激になる本だと思います。