潜水艦映画の古典、「深く静かに潜航せよ」をTSUTAYAで借りてきた。
この映画は、豊後水道で日本軍の駆逐艦に撃沈された米潜の艦長クラーク・ゲーブルが、
個人的なリベンジのために副艦長および乗員たちとブツかり合いながら
任務をまっとうする男のドラマである。
でも実際はこの映画とはまったく逆で、日米開戦後のアメリカの潜水艦の戦果はすさまじく、
B29よりも米潜の戦果の方が日本にダメージを与えたことは研究者が異口同音に指摘している。
なにしろ、航空兵力によらず、日本の軍艦の40%を撃沈したのは米潜である。
また、外地への兵員輸送船団や兵站を担う輸送船のほとんどは米潜にやられ、
日本の海上交通は完全に遮断され、島々への武器弾薬・食糧の補給は断たれ、
玉砕へひた走っていく。私の父親の部隊も台湾へ向かう兵員輸送船が米潜に狙われ
撃沈し、全員が戦死した。幸い父は出航前に病で体調を崩し、
一人だけ九州の陸軍病院に入れられ助かった。
後に台湾へ別の部隊に編入され赴くのだが、その時は撃沈されずに済んだ。
あるケースでは護衛艦を含め18隻の大船団が、たった3隻の米潜に全滅させられたと言う。
それも日本のお膝元、日本海でだ。
これほどまでにコテンパンにやられながらも、日本軍は米潜に対する有効な戦術を
敗戦まで発案することができなかった。というか、日本軍は巨砲の戦艦による海戦こそが
メインストリームで、潜水艦などサブの戦術であると軽視していたらしい。
それどころか、海軍の護衛能力のなさに業を煮やした陸軍は
輸送用に「三式潜航輸送艇」とかいうわずかな物資・兵員を運ぶ潜水艦を
造船技術のノウハウがないにもかかわらず、海軍に内緒で建造しちゃったというから驚きだ。
陸軍が潜水艦を持った例は世界中探しても日本だけらしい。
で、結果は惨憺たるもので、陸軍の潜水艦はいずれもまともに航行できなかった。
ジリ貧の日本軍において貴重な資材とお金を無駄遣いし、誰も責任を取らなかったそうだ。
それに比べ、アメリカの潜水艦の戦術運用は見事なもので、日本の空母・軍艦
200隻以上を海底へ葬った。対する日本の駆逐艦による爆雷攻撃能力は、
第一次大戦時と同じ仕様で、20年以上も改良・進化されないままでいた。