「リコール隠し」というのは耳にするが、「リコール飛ばし」という話もある。
メルセデスの3代目SLであるW107(オープンのSLとクーペのSLC)には
重大な欠陥があり、それを当のダイムラーベンツ社が認めないで放置しているという話だ。
World BenzOrg.のフォーラムで度々書き込まれており、オーナーたちを恐怖に陥れている。
この欠陥とは、フロント・サブフレームの後端にあるロアーアームとの接合部分が
金属疲労を起こして最終的には破断してしまうというものだ。
実際に、数多くの破断例があり、日本でもかなり頻繁に起こっている。
サブフレームの接合部分が破断すると、アームやショックなどが脱落し、
コントロール不能になり、事故に直結する。
低速走行時や車庫入れ時なら運転不能になるくらいで済むが、
もし高速走行時ならかなりの確率で死亡事故に直結する。
その場合やっかいなのは原因が特定できず、
事故調査においては「ハンドル操作の誤り」で済まされてしまうことだ。
メルセデスはこの欠陥を把握しており、350SLおよびSLCと
450SLおよびSLCにのみ85年にリコール・キャンペーンを実施したが、
同じ脆弱なサブフレーム構造を持つ380SLおよびSLCや500SLおよびSLCはその対象車になっていない。
最終型の420SL~500SL~560SLではサブフレームとロアーアームの接合部分が
約2倍の強度を持つ箱形の構造に改良されているが、このことからもダイムラーベンツ社は欠陥を
承知していたことになる。もし、あなたが71年~85年までのW107型メルセデスにお乗りなら、
速攻でフロント・サブフレームを点検してもらった方がいい。
対策は、脆弱部分に補強材を溶接すること。
今日も、世界のどこかでW107のサブフレームが破断しているのだ。怖い!