「荒馬はいまアメリカに一万五千頭ほどしかいない。
1925年には百万頭をくだらなかったんだが、
いまでは殺しつくされる寸前まで来てしまっている。(中略)
野性にかえった馬は、野性的すぎて人間の役には立たず、
放牧地の貴重な草を食い荒らすからという理由で、
さんざん狩り尽くされた」(片岡義男「荒馬に逢いたい」)
片岡義男の「ロンサムカウボーイ」に収められた短編のひとつだ。
この本によると、アメリカの馬の起源はスペインからの流入だという。
スペインに攻め込んだムーア人が連れてきた北アフリカ種の馬らしい。
最初に馬に目をつけたのは、ヨーロッパ移民ではなく、
先住民のインディアン(ネイティブアメリカン)だったそうだ。
騎兵隊を組織したのも、インディアンの方が先だった。
馬をロジスティックスに使ったのもインディアンである。
白人移民はそれを見よう見まねで取り入れたに過ぎない。
カウボーイ、という言葉の裏には意外な事実が隠されている。
荒野で生き抜く術(フロンティア精神)をインディアンからパクり、
ポピュラーミュージックを黒人からパクったヨーロッパ系アメリカ人。
次は、どこの人種・国民からどんなノウハウをパクるのか・・。