アメリカのトラッカー(長距離トラック運転手)の約7割が
運転中に聴くフェイバリットソングとして
ウィリー・ネルソンの「On the Road Again」を挙げている。
地方巡業のバンド暮らしを歌ったこの曲は、
全米各地に散らばるカントリー専門のFM放送局で毎日かかっている。
アメリカのトラッカーの走行距離は日本とは比較にならないほど長い。
東海岸から西海岸までコースト・トゥ・コーストを走るトラックもある。
その仕事は孤独だ。フレイトライナーというトラックがメジャーだが、
ドライバーズスペースはその巨体に似つかわしくないほど狭い。
あまり広いと寂しくなるからだろうか。
延々と続くインターステイツハイウェイを
ただただ走る仕事は、まさに退屈との戦いだ。
束の間の憩いは、就寝するためのトラッカー・スペースでの生活と
行きつけのダイナーでのお世辞にも上等とはいえないメシだ。
リーマンショックで全米各地の製造工場が閉鎖された影響から、
部品や材料を運ぶトラッカーたちも職を失うケースが増えているという。
一時レイオフされて自宅で待機する週給トラッカーたちは、
トラックのキャビンではなく、自宅の居間で「On the Road Again」を聴きながら、
再びあの退屈だけど誰にも阻害されない自由な仕事に戻れることを願っている。