アメリカン・フィルム インスティチュートが行った
「西部劇映画TOP10」のアンケート結果がある。
1位 The Searchers (1956)
2位 High Noon (1952)
3位 Shane (1953)
4位 Unforgiven (1992)
5位 Red River (1948)
6位 The Wild Bunch (1969)
7位 Butch Cassidy and the Sundance Kid (1969)
8位 McCabe & Mrs. Miller (1971)
9位 Stagecoach (1939)
10位 Cat Ballou (1965)
1位の「The Searchers (1956)」はジョン・ウエイン主演の作品。この映画のすばらしさは
やはりビジュアルアーツにあると思う。雄大な西部の自然の捉え方が秀逸。
大スクリーンの醍醐味を熟知したジョン・フォードの面目躍如。
著名映画監督が映画の教科書として何度も観直すほどの作品である。
ストーリーの方はネイティブアメリカンに対する一方的な偏見が色濃い。
2位~3位はもうお馴染みの定番中の定番。基本である。痛快、爽快、拍手喝采。
1位と5位と9位にジョン・ウェインの作品が上がっている。
6~7位(69年~71年)の作品はアメリカンニューシネマの時代ゆえに、
いわゆる伝統的な西部劇とは違い、当時の世相(カウンタージェネレーションの挫折)を
西部劇という手法を借りて表現している。
4位の「許されざる者」はイーストウッドの監督・主演作。
最後の西部劇といわれているが、アカデミー作品賞受賞作品。
近作「グラン・トリノ」にも通ずる実に趣がある映画だ。
こう見ると、アメリカン人の西部劇感がよくわかる。
1~3位はリアル・コンサバ西部劇の王道をゆく作品に拍手喝采し、
4位のイーストウッド作品で、西部劇そのものを葬っている。
6~7位あたりは西部劇というよりもシネマ・ニューウェイブを支持する層の
意見だろう。いずれにしても、西部劇が真の意味でヒーロー・ムービーであることが
選ばれた作品を見てよくかわる。アメリカ映画もしばし、ヒーロー不在のようだ。