ジョセフ・ワイズマンがNY現地時間の10月20日に逝去した。91歳。
映画「Dr.No」、すなわち007シリーズ最初の悪役を演じた俳優である。
晩年はニューヨークのマンハッタンで娘に介護されながら暮らしていた。
数多くのブロードウェイ作品に出演したが、世界的にはやはりDr.No役が印象深い。
結婚は2度。最初の妻との間だに娘があり、その娘が最後まで面倒を見ていたようだ。
彼が演じたDr.Noは、ボンドの強敵の中ではオッド・ジョブ(「ゴールド・フィンガー」)に次いで
人気のあるキャラクターであり、それは彼の秀逸な演技に拠るところが大きいと思う。
ドスの利いた声音、無表情な顔つき、ちょっと無理のある東洋人メイク。
DVDの特典資料によれば、プレッシャーでかなりナーバスになりながらフラフラで演じていたという。
結果的に緊張にさいなまれたような表情が、パラノイヤ的な人格を表現していて、
Dr.Noの得体の知れない人物像を作り上げた。
死去したのは「病院」ではなく、マンハッタンの「自宅」。
まさに「医者いらず=Dr.No(原作の初期における日本タイトル)」であったのだ。
冥福を祈るとともに、今夜はDVDで「Dr.No」を観よう。