ロッシーニのウイリアムテル序曲といえば、「ローン・レンジャー」。
ローンを抱えて右往左往している人のことじゃない。
二丁拳銃を腰に差した正義のヒーロー。
当時の子供たちはこのTVドラマを見て、みんな真似をした。
覆面に二丁拳銃を構える幼少の頃のモノクロ写真を持っている人は多いはずだ。
主演はクレイトン・ムーア。この人の役者人生は決して恵まれたものではなかった。
「ローン・レンジャー」一作のみの役者として生涯を閉じることになる。
「ローン・レンジャー」を見た世代はみんな知っている、「インディアンはウソをつかない」ことを。
これは言い換えれば、「白人はウソをつく」ということである。
ものすごい真理だ。先住民にとって、白人による土地の収奪は
ウソと裏切り、虐殺によるもの以外何ものでもない。
登場するインディアン(アメリカ先住民)=トントは、ローン・レンジャーのことを
「キモサベ」としか呼ばない。それは、「信頼できる仲間」という意味(らしい)。
「キモサベ」がほしい今日この頃である。