ロバート・ブラウンジョンをご存じだろうか。
60年代に活躍したグラフィック・デザイナーだ。
有名な作品はストーンズの「LET IT BLEED」のジャケットが挙げられるが、
何といっても007映画のタイトルシークエンスのデザインは傑出している。
女性の身体に映像を映し込む手法を使い、「ロシアより愛をこめて」と「ゴールドフィンガー」という
60年代の映画アートシーンを代表するすばらしい作品を残した。
007映画のタイトルデザイナーと言えば、ほとんどの作品を手がけたモーリス・ビンダーが有名だ。
しかし、初期の金字塔とも言える作品を観ると、
ロバート・ブラウンジョンの功績が大きいことを改めて認めざるを得ない。
なにしろ、ある意味彼の作風をモーリス・ビンダーも受け継ぐことになるからだ。
ロバート・ブラウンジョンはニュージャージーで生まれてNYの広告業界で仕事をした後、
ロンドンに移住した。ここから彼はアーティストとしてメジャーの道を歩むが、
70年にドラッグによる心臓発作で夭折してしまう。ロンドンのアートシーンが
もっとも沸き立っていた60年代、有名ミュージシャンや有名アーティストと親交を深める一方で、
泥沼のドラッグライフへはまって行ってしまった。
コンピュータも何もない時代に、女性の身体の曲線をうまく使い、
そこに映像を自然な感じで映し込む作風はいま見てもクールだ。
いや、アナログだからこそ、クールに見えるのかもしれない。


