バーにはよく行く。ひとりで行く。一緒に行く人がいないのと、
面倒な会話をしたくないから。
で、必ず1杯目に飲むのが、「マティーニ」だ。
レシピはシンプルだが、店やバーマンによって、
こんなにも味が違うカクテルはないんじゃないだろうか。
メインはジンかウォッカで、それにベルモットを加えるだけ。
簡単だから自分で・・・と思うととんでもない。美味しく作れることは、まず、ない。
チャーチルがどうの、開高健がどうの・・・というウンチクの多いカクテルだけに、
そういう神話に憧れる客が多いせいか、黙っているとドライにしがちな傾向がある。
中には、エクストラ・ドライをいきなり出す店もある。生でジンかウォッカを
飲った方がましなマティーニもある。とにかく、いろいろ逸話のあるカクテルだから、
さまざまな解釈やヴァリエーションがあってもいい。ただし、カクテルだということだけは
忘れて欲しくない。混ぜる前の酒に他酒を1滴というような混合など、意味がない。
カクテルというのは、生酒の粗や欠点をうまいこと修正して、美味しい酒に仕上げる行為だと思っている。
要は、「美味しい」ということ。美味ければレシピなんてどうでもいい。ただし、
マティーニに限っていえば、強いアルコール度で「速く酔えること」がポイント。
で、酔っぱらったらダラダラ飲まないで、サッサと自分の部屋に帰ること。
そういえば、麻生総理、ホテルのバーで飲んだ後、サッサと帰宅している。
解散はダラダラでも、酒の引き際だけはキレ味がいい。見習いたいものだ。