第五章 その2〔 江戸むらさき 〕

当時の政治・経済や時代背景と上海事情を組み入れた回顧録 〔 上海の小雪さん 〕を 初めて読まれる方 忘れた方は 以下 第一章~第四章・第五章~シリーズご案内から お読み下さい。

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茉莉花 Jasmine Flower / 于红梅 赵聪 陈悦 吉炜


第5章 その1〔 天使が恋をおぼえたら 〕 からの続き・・・

この後 江戸城・北の丸であり代官町と呼ばれた北の丸公園を バーバリー
トレンチコ-トを着て 青い月光下で散歩でも ・・・ 


それから それから ・・・・ 胸の鼓動が高鳴る。
株のツキが月に いや次に ・・・・




                   ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



東京科学技術館のセール会場から外に出ると 月は雲の陰 辺りはもう真っ暗闇。 
点々と灯る街路灯だけが 薄暗い歩道を歩く人達を上から照らしている。



誰一人 逆方向の暗闇に向かって歩いている人はいない (^_^;)
繋ぐ手には 買い物袋が (>_<)
夜空の月が・・・運にはツキが ・・・



『 少し疲れたね? どこかでタクシーを拾おう。 』
『 私は 平気よ! 駅まで歩きましょうよ! 』
『 竹橋駅が近いかのな? 銀座か新宿で食事しよう。 』
『 嬉しいわ 素敵な買い物して食事だなんて (◕‿◕✿ 』
『 やっぱり 素敵な買い物の後は 銀座だね。 』
『 ??? 』
『 いや~素敵な買い物の雰囲気を壊さないように 銀座の素敵なレストランで
   と言いたかったけれど 言葉が飛んでしまった。(^_^;) 』


何故か焦り意味不明な言葉 自分でも何を言っているのか よく分からなかった。
空を飛ぶ鳥は 翼があるから飛ぶが 私には飛ぶ翼がない。 
欲が足りないから とんでもない言葉だけが飛ぶのかな (・・∂)



夕食は何がいいかと訊ねると お任せと言う。 このお任せというやつが 男には難しい。
何度か行った銀座東武ホテル・ルネッサンス東京 ( * ) の 日本料理店には ゆっくり
二人で寛げる 大人の上質の個室がある。


竹橋駅から地下鉄・東西線に乗り 日本橋で銀座線に乗り換え 銀座で下車。 
中央通りと晴海通りの交差点 日産銀座ギャラリービルに出る。



地上に出ると 夜の銀座で働く艶やかで眩しい女性達は 週末なので歩いていない。
後ろに見える三愛ドリームセンターが七色に輝き ネオンが眩しい。 

 

『 あのビルの上のネオンサインには 現代の銀座の歴史を刻むサインがあるんですよ。 』
『 銀座の歴史のサイン? 』
『 このビルは東京オリンピックが始まる三年前に建設 三愛ビルと呼ばれていたんですよ。』 
『 今は何と云うの。 』



『 今は 三愛ドリームセンター。 ビルのネオンサインの最初は〔 三菱スリーダイヤのマーク 〕
  平成2年には〔 Sanーai 〕に その後 〔 CocaーCola 〕〔 サントリー 響 〕〔 vodafone 〕
   と変わっていったのです。 (** 平成18年より〔 RICOH 〕 』
『 本当に 一つの銀座の歴史ね。 』



晴海通りを東銀座方向に徒歩を進め やがて前方左手に歌舞伎座が見える。
東銀座交差点を新橋方向に右折する。



『 あらっ!あそこに歌舞伎座が見えるわ。 銀座東急ホテルは真っすぐ先ではないの? 』
『 当分の間 東急ではなく東武へ行くのですよ。 』
『 当分の間 トーブ? 良く意味が分からないわ (゚ー゚*?) 』
『 失礼。 今日は東急ホテルではなく 東武ホテルの日本料理に行くのですよ。 』
『 あ~ぁ 池袋の東武百貨店のトーブね。 』


交差点から一分でホテルに着く。 地下一階をぐるりと一周 二周目に日本料理店の 
入り口スタンドにある お品書きを見る。
30分後の来店予約をし メニューが載っているパンフレットを貰う。



バー光琳に入る。 土曜夕方の時間が早いのか 他に客はいない。 
カウンターに二人並んで腰掛ける。

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バーテンダーが お飲み物メニューを出し『 何にしましょうか? 』 と訊ねる。 私は 日本料理店のメニューの写真を指差しながら 『 これが良いかな! 』 小雪さん 慌てて 『 それは違うでしょう! 』 私は もう一度指差しながら 『 これがいいな! 』 バーテンダー 『 かしこまりました ビール二つですね ♪<(゚ー^)ノ 』 小雪さん 『 ???? 』 『 カウンターに座ると 何だか懐かしい感じがするわ。 』 『 えっ 何時の懐かしいですか (^_^; 』 『 何時の? 』 『 いや その懐かしい想い出は いつの話のことかと (゚ー゚; 』 『 決まっているじゃ~ない。 新宿で二つ目に行ったバーのことよ ふふっもしかして♪<(゚ー^)ノ 』 もしかして ・・・ 自分の想像力が一直線に跳んで とんでもなく飛躍し過ぎていたらしい。
              

〔 * 現在のコートヤード・マリオット 銀座東武ホテル 〕

イメージ 2銀座の中心に位置し昭和通りに面する利便性の高いシティホテル。   銀座中央通りや歌舞伎座も至近にある。
地下一階に 銀座の老舗日本料理店 〔 むらさき 〕 がある。  厳選された新鮮で最高の素材を使用 熟練の職人が 心をこめてつくる旬の味覚が定評。
〔 むらさき 〕 の個室の一つ ⇒
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← 【 写真 ホテルの案内より拝借 】 ↑

   

30分後 〔 むらさき 〕に入り 取り敢えずのビールで乾杯 暫し寛ぐ。
メニューを見せると しゃぶしゃぶや天麩羅料理より 懐石料理が良いと云う。
前菜が出て やがて魚や季節の野菜を中心とした和食が運ばれてくる。
季節の焼物 焼き松茸 黒鮑の踊り焼 鯛のうす造りも新鮮で嬉しい。
しょうゆ差しから 醤油を受皿に注ぎながら・・・


『 ところで小雪さん すし屋で この醤油のことを紫と云うんですが 知っていますか? 』
『 紫式部と関係あるのですか?  』
『 式部とは関係はないです。 紫の色(シキ)とは関係ありますが・・・ 』
『 紫の色? 』
『 そう。 でも東京の 〔 むらさき 〕で食事をしても〔 江戸むらさき 〕 とは言いませんよ。』
『 江戸むらさき?? 』
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駄洒落から〔 江戸むらさき 〕 の説明をする羽目になった。

本来 〔 江戸紫 〕 とは 染料として利用されてきた染物 ( * ) の色名であり 食品会社の桃屋が海苔の佃煮に使用する 醤油の別名〔 ムラサキ 〕 に掛けた名称であること。


更に 昔から紫は高貴な色で 庶民は紫を身につける事が許されず 身分の高い人が独占していた色で
あったこと。 青に近い紫を〔 江戸紫  〕赤に近い紫を〔 京紫 〕とも云うこと。
江戸紫から江戸文化の話になり あの論文のテーマから発展した〔 湯女風呂 〕の話も懐かくなる。

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『 江戸紫は 本当に江戸時代からなのね。 』
『 江戸文化は 洒落や歌舞伎で代表されるけれど 日本一のいい男として  派手好みの江戸庶民の憧れの的だった 助六が結んでいた紫縮緬の鉢巻きも 鮮やかな〔 江戸紫 〕だったそうですよ。』



『 中国で高山だけにしか育たない 青や紫のケシの花があるけれど 紫は江戸紫色かしら? 』
『 中国の江戸紫? 』
『 青はヒマラヤンブルー。 短い間しか咲かないので 幻の花と言われているそうよ。 
   そう云えば 来月は スキー旅行ね (◕‿◕(◕‿◕✿ 』



次回の第五章 その3へ続く・・・


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〔 江戸紫 〕

紫色の染めは 紫草の根を用い 井の頭の湧水を源とする神田川の水で染め上げたもので 江戸時代には  武蔵野地方特産の 〔 江戸紫 〕 と言って江戸っ子に大変珍重されていた。
妙正寺川と神田川が出会う落合には 多くの染色工房や染色作家が移り住み 大正末期には 神田や浅草などの下町にあった染色業者が一斉に 水のきれいな妙正寺川沿いや神田川沿いへと移転してきたそうで 現在でも染色工房があります。 落ち着いて しぶい江戸友禅や江戸小紋は 現在も大変重宝な染物です。