第四章 その2〔 どう言ったらいいのか? 〕

〔上海の小雪さん〕当時の政治・経済や時代背景と上海事情を組み入れた  回顧録を初めて読まれる方 忘れた方は 第一章・第二章シリーズから お読み下さい。

〔 上海の小雪さんのご案内 〕 ← クリックして下さい。


テレサテンの〔 你怎麼說 - How Would You Say? 〕

第四章 その1〔 時の流れ 〕 からの続き・・・

小雪さんの小さな思い出話が楽しみ いや まだ聞いていない話に少し嫉妬するような複雑な感情を
覚える。 霧子との青春話しを黙って聞いていた 小雪さんの穏やかな感情も忘れて この自分勝手な
心の深層心理は? 



                     ◇ ◇ ◇



銀座東急ホテルは 東銀座の中心地にあって歌舞伎座や新橋演舞場へ観劇に行く人や結婚式・披露宴
へ参加する人達 又銀座に近い宿泊施設として賑わっていた。 ロビーの中央にあるコーヒーラウンジ
も 待ち合わせ人などで一杯になる。 



 小雪さんは エルメスの小箱を開け 中からブレスレットを取り出し 色白の手首に飾り微笑み返す。
『 うわぁ~ とても素敵 ワタシ この緑色が大好き 』 
『 喜んでもらえて 良かった。 それで上海大厦の喫茶店の思い出話は  』
『 あら ごめんなさい。Dotpedさん ワタシの思い出話は 本当に小さな思い出だけなので がっかり
   するかも知れなくってよ! 』
『 それは 聞いてみなけりゃ分からないよ! 』



『 Dotpedさんが上海に着いた日の夜 工事中の道路や建設中の建物が多い南京路を一緒に歩いた
   でしょ 』
『 あ~小雪さんが 通りを渡る度に お姉さんのように 腕を引っ張ってくれたところね 』
『 アハハハ~お姉さんのように・・・だって余りに沢山の人で迷子になったら困るし 上海の車や
  自転車は危ないですもん。 』



上海の街ではぐれたり 自転車に引かれたりしたら 格好がつかない。 それにしても あの蜂の巣を
突っついたように往来する人や自転車のごった返す様子は聞いてはいたが大変驚いたものだった。 
⇒ 第一章 9回 【 上海・夜の帳 】 



『 南京東路の新世界城の近くで ワタシが指差した あのビルを覚えてます?  』
『 高校卒業後 日本に来る迄 勤めていたと云うところ?  』
『 えぇ あそこで働いていた時 同じ会社の人と 半年くらいかしら 付き合っていたの 』
『 半年くらい・・・ それで・・・ 』
『 それで・・・あの上海大厦の喫茶店は その彼と初めてデートした時に行ったところなの 』
『 彼は 今は どうしているの?  』
『 彼は 突然アメリカへ行ってしまったの!  』



半年間付き合っていた彼が 突然のアメリカ行き! それを聞いて同情するが 少し安堵したような 
嫉妬するような 複雑な気持ちになる。



『 突然 アメリカって どういうこと?  』
『 中国は 海外留学生と一般の大学卒業生では何倍もの給与格差があり 彼は将来の事で悩み続け 
   最後に海外留学を決意したらしいの 』
『 小雪さんは アメリカに一緒に行くとか 後から行くことは 考えなかったの? 』
『 もちろん ワタシも色々考えたわ。 でも彼は中国へは戻らない決意だったし ワタシ達 そんな
  深い付き合いではなかったから~  』
『 どう言ったらいいのか  』
『 もう過去のこと 気にしなくていいのよ  』

〔 中国留学生 〕

中国では 海外留学生は大変貴重な存在で 帰国してからの待遇は 一般の人達とは比較にならないほどの給与格差で要職にもつけた。 自費留学生は 高校卒業後一度就職し 4,5年働いて留学費用を貯めて留学する 或いは 中国の大学を卒業後 海外で修士課程や大学院に進学する人が多い。 だから24歳~30歳になって大学受験や留学する人も多い。 小雪さんは その前者であった。
1978年 中国で改革開放政策が始まり 海外留学生は既に累計で約140万人になるが 帰国したのは40万人にも満たなく 国費留学生の帰国率は100%に近いが 自費留学生は帰国しないで海外で永住許可や外国籍を取得し 国外で生活していると云われている。 
中国は 今では留学生の数が世界一多い国となっている。 東京大学には約700人の中国人留学生がいるそうだが その質が問題となっている。

休憩

〔 Placido Domingo 〕ループ

小雪さんは そう言いながら 顔を少し横に向ける。 私には 彼女が目から零れる涙を必死で堪えて
いたように見えた。 その時 新宿ヒルトンホテルで彼女が愁いある表情で涙を零したところを垣間
見たのは 霧子の辛い話とダブった為ではないだろうか?



『 その後 彼からの連絡は?  』
『 彼がアメリカへ行ってからは 何の連絡もないし それがワタシの自分の将来を見つめ直す良い
  キッカケとなったの。 日本と取引があった知人からの勧めもあって それでワタシも 日本の
  大学に留学することに決めたの 』
『 日本では 大学や大学院を卒業する年齢ですよね  』



『 中国女性は 昔の日本女性のように 家庭の中で主婦業だけをする人は ほとんどいないのよ。 
  女性が一生働くという意識は 中国社会では当たり前のことで 将来のことを考えれば若い頃
  の 5・6年より留学することの方が 自分の一生を考えると もっと大切なことなのよ 』
『 これまでの日本人の意識では 考えられないことですね  』



                     ◇ ◇ ◇



 小雪さんは ゆっくり両腕を上げた後 首をクルクル回しながら『 少し疲れたのかしら? 』 と云う。
『 疲れた? カイロプラクティックにでも行こうか!  』
『 もう帰るのですか?  』
『 帰ろうではなくカイロプラクティック 鍼マッサージのことですよ 』
『 あはは~鍼マッサージに是非行きた~い 』



『 鍼灸は中国が本場だけど やったことあるの? 』
『 鍼灸は昔 経絡・経穴と呼ばれていたのですけど ワタシは経験ないわ だから行ってみたいの  』
『 怖くない?  』
『 面白そう! 』
『 何でも興味あるんですね  』



『 何処にあるんですか?  』
『 ここから15分位歩いた隅田川のほとりにある大きなビルの中のフィットネスクラブ内ですよ 』
『 是非連れて行ってくださ~い  』
『 よし今からすぐ行こう 』


東急ホテルを出てから 晴海通りを歩き 勝鬨橋の手前にある築地卸売り市場を右手に見て そこから
左折する。 隅田川はウォーターフロント計画により綺麗に整備され 最近はテレビドラマの撮影場所
として良く出てくる場所である。

イメージ 1まるでPlacido Domingoが歌う動画のように感動的なロマンスを味わえる雰囲気がある。 二人並んで川のほとりから聖路加ガーデンビル( St.Luke's Garden )への階段を上って行く。

ここは佃大橋と勝鬨橋の間にあり 外資系企業やグローバル企業が入居している47階建て聖路加タワーと聖路加レジデンス(32階~ 38階は東京新阪急ホテル)のツインビルである。 窓からは 東京タワーやお台場 隅田川とレインボーブリッジの夜景がすごく綺麗な展望スポットとなる。

〔 鍼灸 〕

鍼灸は 肩こり腰痛 骨盤のゆがみ スポーツ障害など整形外科系の疾患に対して 皮膚または筋膜などの  体表部位に特定の刺激部位を選択し 鍼や灸を用いた刺激を与えることで 各種疾病に対し治療的な介入を 行なう医療技術。

イメージ 2
 ← 聖路加ガーデンビル( St.Luke's Garden )



 鍼灸予約受付け後 クラブ内を回る。 

『 実は このフィットネスクラブは 私が通っているジムなのですよ 』
『 道理で詳しいはず。どんなものあるんですか?  』
『 水泳 エアロビクスや室内トレーニング ダンスを含むスタジオトレーニング サウナやリラクゼーション 沢山 ありますよ 』




イメージ 3
予約の時間になりカイロプラクティック・ルームに行く。カーテンで間仕切りした向こう側で 小雪さんが洋服を脱ぎ浴衣に着替えている。 やがてワタシも隣のベットに横たわる。

ドキドキ・ドキドキ・・・カーテンの向こう側に 小雪さんが・・・この状況 どう言ったらいいのか!

小雪さんの思い出話は? 鍼灸の後 どうしようかな?
鍼灸が 肩凝りと心身を癒し始める。

次回の第四章 その3へ続く・・・


〔 東急スポーツオアシス聖路加ガーデン 〕
  ( 当時の名称は スポーツエリックス聖路加ガーデン )

イメージ 4
東急スポーツオアシス聖路加ガーデン (B1F,B2F)は東京都中央区明石町の聖路加病院の向かい側に聳え立つ 超高層ビルの地下1・2階にあるフィットネスクラブです。 中は広々とした水泳プール アスレチックジム ジャグジーやサウナなどがあります。

イメージ 5
↑上のマッサージ広告写真は 別のスポーツクラブです。