〔 上海の小雪さん 〕当時の政治・経済や時代背景と上海事情を組み入れた 回顧録を 初めて読まれる方 忘れた方は 第一章・第二章シリーズから お読み下さい。
| 茉莉花の香りは 心を癒し 気持ちを安らげ 身も心も 健やかにする。 茶葉の風味に 生花の香りが一体となる 茉莉花茶は 思い出の香り。 茉莉花は 忘れられない甘くも辛い 想いでの曲。♪ |
第三章 その14 〔 女の命の花 〕 からの続き・・・
朝方 再び目を覚ますと霧子の姿が見えない。 荷物は置いたままだ。
琵琶の 哀愁漂うトレモロの音色に 激しく叩きつけるような撥の音 まるで次回の話しを奏でて
いるような気が・・・・
◇ ◇ ◇
顔からスーッと血の気が引き ドキドキしながら 服に着替えようと 浴衣の帯を解き始める。
部屋の外でカタンと音がする。 一瞬 過剰な不安や心配が恐怖心となって 頭の中で色々な
思いが駆け巡る。
江戸時代の歌舞伎役者が洒落を込めて作った市松
模様の美しい襖戸が 音もなくスーッと開く。
開けた霧子は 酷く驚いた顔で 立ち竦む!
私は 真っ青な顔をして 立っていたらしい。
←〔桂離宮・松琴亭と同じ市松模様の襖意匠戸〕
『 Dotpedさん。 一体どうしたのですか! 大丈夫ですか? 』
『 き き 霧子! 』 恐怖心から開放され その後の言葉が出ない。
霧子は 私が目を覚ましてはいけないと思い 一人静かに部屋を出て 温泉風呂に入ってきたと云う。
霧子の顔を見つめると 微笑の顔に一夜にして艶めいた表情を加え 紅いルージュを引いていない
淡い唇に引き寄せられる。 霧子を抱きしめると 放心したように肩がカクンカクンと抜けていくような
感じに 愛しさがこみ上げ 息が出来なくなるほど強く抱き そのまま倒れ 優しく乱れる。
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小雪さんは 頬を紅くし ため息をつく。 小雪さんと食事をしながら霧子の話しを続け もう小一時間
になる。 ワインのボトルも空になる。 デザートとコーヒーが出て来たところで 小雪さんに聞く。
『 そろそろ食事も終わりですが どうしよう? 』
『 そうね。 今日は夜中までとは云いませんけれど そんなに愛し合っていたのに 今どうして
霧子さんと一緒にいないのか凄く気になるわ! まだまだ霧子さんとの話はあるのでしょう!
もっと聞きたいわ! 』
ニューヨークグリルを出て 何処へ行こうか 歩きながら思案するが なかなか思いつかない。
41階のフロント・ロビー階の 図書館のような廊下を通り ピークラウンジに出る。 他のカップル
が乗るエレベーターをやり過ごし 次のエレベーターに乗る。
エレベーターが下り始めると照明は暗く手を繋ぐが 甘いムードを感じる前に 徐々に明かるくなって
いく。 タイミングが~・・・地上階についてしまう。
格子扉の美しい廊下を暫く行くと 左に檜造り大丸風呂 右に岩風呂と家族風呂がある。
← これは〔岩風呂〕
浴室も清楚な造りで白木の浴場になっている。
大きな松の幹をくり抜き組み合わせた〔大丸風呂ーおおまるぶろ〕の中には 円形の真鍮縁の浴槽があり 樋で温泉が掛け流されている。
約62度の源泉をそのまま湯舟に流し込み 天然の湧き水で湯加減を調整しているそうです。
パー クハイアットを出る。 新宿中央公園方向へ行きたいが そんなロマンチックな気分でもない。 都庁から新宿駅方向に向かって左手の京王プラザホテル45階のスカイバー・ポールスターへ行く。 このホテルは昔から色々な展示会で使用したり 国内外の顧客と新宿で待ち合わせする時に よく利用しているので やはり落ち着く。
カクテルの王様と云われるマティーニにジンを入れずウォッカを そこで007ジェームズ・ボンドの名セリフをバーテンに ≪ステアせずにシェィクで≫
小雪さんには ちょっとマティーニと言い 甘いスウィート・マティーニを ・・・いや やっぱりマルガリータを。
『 少し甘いですか? 』
『 ワ・タ・シは 十分甘いですよ! 』 ぅふふふ
『 そうですか それでは 少し辛くなるかも知れない 霧子の続きを話しましょう。 』
『 ワ・タ・シ 少し酔いそう・・・ 』
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甘い雰囲気で福住楼を後にし 元箱根で遊覧船でも乗ろうと云うと 疲れたので 箱根観光はせず
帰りたいと云う。 箱根湯元駅へゆっくりと歩く。 霧子の山や渓谷を見る目が虚ろに見え その
うち下を見て歩くような感じになる。 少し気になるが疲れているのだろうと 特に声をかけずに
歩き 十数分で駅に着く。
新宿駅行きロマンスカーに乗ると いつもの明るい笑顔が返ってきた。 やはり少し疲れていたのか?
今迄の刹那的な想いから 昨夜の甘く激しい霧子の姿が眩しく浮かび その喜びが頭の中を駆け巡り
安堵し 手を繋いで居眠りをするうち 目が覚めると もう新宿が近い。
気になっていた霧子の家族の近況を聞く。 小夜子(妹・仮名)の写真を見て驚く。
『 小夜子さんは 貴女にそっくりですね 』
『 皆 そう云うのですよ。 』 と言い 微笑み 手を硬く握り締めながら『 私 今 とても幸せ
このまま 何処かへ行ってしまいたいわ。 』 小声で言う。
『 えっ! 』
『 冗談ですよ。 』
新宿駅に着くと もっと一緒にいたいけれど 札幌にも電話しなければいけないし とても疲れたので
本当に悪いけれど 今日は帰りたいと云う。
『 遊覧船に乗った時 云おうと思ったのだけど・・・ 』 と言う言葉を遮り
『 ごめんなさい。 今度ゆっくり聞きますから。 』 日曜日昼下がり 新宿の街角で お別れである。
ウォッカ・マティーニを二杯飲み 少し酔い加減で話していたが この先を続けるには もう少し強い
飲み物が必要になりそう・・・もっと強いカクテルは? 小雪さんは 何がいい?
その時 携帯電話がなる。 大阪のMから 金曜日会社に連絡をしたが連絡がつかず 今朝から何度も
電話をしていたと言う。 そう云えば 携帯電話は昨夜からオフにしたままであった。 滞っていた
顧客への納品が やっとけりがついたので 安心のため報告をしたかったと云う。
◇ ◇ ◇
大阪の取引先が 倉庫に荷が溢れ納入する場所がないという勝手な理由で 数億円単位の輸入貨物の引取りを2ヶ月以上も遅らせているのである。 ましてやコンテイナー船では間に合わないと言うので 航空代を海外メーカーと百数十万円ずつ折半し空輸した貨物である。
Mは関連の倉庫会社の社員を引き連れ 顧客の倉庫に出向き ほぼ満杯になっている貨物を 更に天上まで積み上げ 空いたスペースに貨物を運び込んだのである。有無を言わせない合法的な行動で納品し 契約通りの期日で約束手形を貰う。
気になっていた大きな問題は解決した。 さてと 小雪さんのところへ戻ろう。
少し足がふらつき始める。
次回へ続く・・・
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