〔 上海の小雪さん 〕当時の政治・経済や時代背景と上海事情を組み入れた 回顧録を 初めて読まれる方 忘れた方は 第一章・第二章シリーズから お読み下さい。
| 〔 茉莉花 〕Mo Li Hua - Jasmine Flower |
| 女の命の花 |
| 燃やし尽くしてみたい女の恋 それは命の花。 そんな激しく美しい命の花を 若いうちに 一度は咲かせ 散ってみたいと・・・ 愛しく可愛い花 楽しく若い時は短く 苦しい時が多い。 |
パー クハイアット東京 フロント・デスク
第三章 その13 〔 恋は 女の命の花 〕 からの続き・・・
この話は まだ序奏! あれは恋なのか 女の命の花なのか 。。。。。
突然 背筋を掻き毟るような戦慄が走り やり場のない想いで 胸まで張り裂けそうになる。
回顧録というには酷過ぎる ドラマのような 鮮烈な想い出が蘇ってくる!
◇ ◇ ◇
真梨子の公演の前夜 同僚と一杯 部屋に戻ったのは午前0時。 明日は小雪さんとデートなのに
霧子の話のことが気になり 頭の中で少し整理し始めるが 何時の間にか眠ってしまう。
朝 ゆっくり起き シャワーを済ませ 待ち合わせの新宿伊勢丹デパート前に行く。小雪さんは
既に来ていた。 公演開始時間には まだ間があり 普段は見ることのない女性の下着売り場を
一緒に見て歩く。 上海スタイルである。 ⇒【 第一章16〔何日君再來〕記事】
開演前 真梨子へ花束を贈呈すると 彼女は二人を見て 少し羨ましそうな顔をしたように思えた。
彼女の新劇を観るのは初めてだが 分かり易く盛況だった。 劇場内の空調が悪く 酸欠で頭痛が
する。 公演が終わると直ぐに外に出る。 新宿駅脇の甲州街道から都庁を通り 新宿中央公園の
ベンチで少し休憩する。
薄暗くなってきた公園には カップル達が 手を繋いだり寄り添ったりして歩いている。
甘い雰囲気が 辺りをロマンチックに包み込んでくる。
公園を通り過ぎると 目の前に大きな建物が聳え立っている。丹下健三設計によるトンガリ屋根のパー クハイアット東京だ。
フロント・ロビーは41階にあり 吹抜け天井までガラス窓で囲まれた天空のピークラウンジに出る。
更に上層階に行くには 一見図書館のような雰囲気を 演出している廊下を通り そこから奥まったフロント・デスクの近くにあるエレベーターを乗り継いで行く。
上層の52階には眺望がいいニューヨークグリル・バーがある。 エレベーターを降りると小さなレセプションがあり、そこで予約リストをチェックする。
案内され席に着き 食事は 肉厚のドーバー産舌平目のポワレ フェンネルのソテーとチェリートマト
ガーリックチャイブ風味。 カリフォルニア産のスパークリングワインの白で乾杯をする。
食事とワインで心地よく ほろ酔い気分になり 真梨子の演戯について語っているうち 小雪さんは
霧子の話しは忘れたと思い ほっとしたのも束の間 ところでと話題を変えてきた。 話し始める。
| 〔 Red Violin (Aranjuez) 〕恋のアランフェスより「レッド・ヴァイオリン」曲:Joaquin Rodrigo アレンジ:川井郁子 Harp:朝川朋之 AG:天野清継 |
霧子が失踪した理由もわからないまま一ヶ月過ぎ 夢であってほしいと願いながら床に就き 目が
醒めると やっぱり夢ではなかったと・・・
悶々とした気持ちで過ごす師走 霧子から突然の電話である。 とても信じ難く 嬉しさが込み上げ
次の日曜日に会う約束をする。
ジングルベルが響く渋谷の街 イルミネーションが眩しく輝く。 ハチ公前で待つ心には不安で
楽しく聞こえてこない。 赤いマフラーを首に巻いた霧子が すまなそうな顔をしてやってくる。
『 Dotpedさん。 黙って姿を消してしまい 心配をおかけし本当に申し訳ありませんでした。 』
『 本当に心配していましたよ。 ここは寒いので とにかく何処か温かい所で話しましょう。 』
『 えぇ・・・ 』
『 元気がないですね。 よほどのことがあったのですね。 』
西武百貨店向かいの 小奇麗な喫茶店に入る。 霧子が好きだという〔茉莉花〕の曲を聴きながら
熱いジャスミンティを飲み 体を温め 緩んだ口元から やっと微笑と共に言葉が出てきた。
〔 宋祖英さんの【 茉莉花 】は 第三章 その4 〕↓
◇ ◇ ◇
10月中 妹から切迫した声の電話があり 母の精密検査の結果 癌である事を伝えられたという。
会社に休暇願いを提出 その日に札幌に向かう。
医者は 癌は初期段階なので 今 命がどうかと云うことではないが いずれ手術は必要だと云う。
今後の事を弟や妹と相談 一度東京に戻り 又すぐに札幌へ戻り一ヶ月が経ってしまった。
あまりに色々な事が起こり 疲れ切っている。 約束の秋の旅行にも行っていないし 正月のスキー
旅行は無理なので 箱根で温泉にでも浸かりたいと云う。
〔 渋谷西武百貨店 〕
東急グループの牙城であった 渋谷駅周辺に西武が進出したのは 1968年 五島昇氏と堤氏のトップ会談に よるもの。 当時 渋谷松竹・国際の劇場跡地に〔A館〕〔B館〕を開店。東急は 池袋に東急ハンズなどを出店。
その後 パルコが渋谷公園通りやスペイン坂の開発 ロフトを別館でオープン。 東急は 109やBUNKAMURAをオープン。
新宿から小田急ロマンスカーで 新婚旅行のように二人仲良く座り 箱根湯元・塔ノ沢へ行く。
純日本旅館で 昔は川端康成 林芙美子 福沢諭吉 夏目漱石なども宿泊したと言う〔福住楼〕。
建物を保持し水気を避ける為 浴室やトイレは部屋に付いていない。 昔のままの造りである。
間取りや造作は 部屋により異なるらしい。 眼下の早川渓谷のせせらぎの音が 二人を迎える。
◇ ◇ ◇
温泉に浸かり 杯を重ね 優しく一緒に酔う。
霧子は 初めての夜に身を委ねながら ぎこちなく甘えてくる。
ゆっくり二人だけの 夢の時を過ごし やがて疲れ果て眠りに入る。
何か気配を感じ目を開けると 霧子が じっと顔を見つめている。 少しの間 熟睡したが すぐ目が覚めたと言う。
霧子の 美しい顔や容姿の魅力よりも その優しい性格や 眼差しと仕草に暖かさを感じ 幸せな
気分に酔いしれる。 本当は〔真人〕。 正直にしか生きられない 切なくも優しい女心を思う。
二人は 何度も何度も激しく求め合い めくるめく世界へ・・・
朝方 再び目を覚ますと霧子の姿が見えない。 荷物は置いたままだ。
琵琶の 哀愁漂うトレモロの音色に 激しく叩きつけるような撥の音 まるで次回の話しを奏でて
いるような気が・・・・
次回へ続く・・・
| 〔 霸王卸甲 by Liu Fang 劉芳琵琶 〕↓ |
日本の琵琶は大きなバチで弾き 中国は5本の指に爪をはめて演奏します。
| この記事は 官能小説ではありません。自動検索などで語句を拾い 不適切なコメントの投稿がありましたら 削除しますので ご承知下さい。 |