〔上海の小雪さん〕第三章　その８〔小雪さんは女優さん〕

〔上海の小雪さん〕は私の体験を出来るだけ忠実に回顧当時の政治・経済や時代背景と上海事情を組み入れたノンフィクションで綴るブログ記事です。初めて読まれる方忘れた方は　第一章・第二章シリーズからお読み下さい。

第三章その８〔小雪さんは女優さん〕

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〔小雪さんは女優さん〕

第三章 その７〔 お江戸は 洒落でござる 〕からの続き･･･

昔 ダメの 〔 駄 〕であったはずが 今 洒落と駄洒落の 区別がつかない。
ウｲ～と酔った振り もっと小雪さんの傍に･･･


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小雪さんの傍に もっと近づこうと腰を浮かせたその時 隣のテーブル席で 何か喚いている。
フラフラ歩調で江戸銀に入った 25歳前後の男達である。

『 だから～ 転ぶから～ ﾋｲｯｸ 気をつけろって～ ﾋｲｯｸ 言ったのに！ 』
『 アイテテテェー 肘が～ 』
『 お店の～ ﾋｲｯｸ バンソウコ～ 貰おうかな。 』 
 言葉より先に 手や指が踊る。 オードリーのジェスチャーである。　
 酔っ払いの 洒落のオンパレード 正にシャレード(*)である。
 この店に来る途中 フラフラ歩きで 転んだのだろう。


小雪さん 小物入れからバンソウコを取り出し 男に 『 どうぞ 』
驚いた男性 小雪さんの顔を見て『 じょ 女 女優さんですか？ 』
Dotped  『 そう 女優です。 中国の 新人女優です。 』
男性    『 えーっ 本当ですか！ サ サ サインもらえますか？ 』
Dotped  『 色紙とサインペン ありますか？ 』
小雪さん『 冗談ですよ！ もうDotpedさんたらーっ!! もう～ 』 
男達 半信半疑 コップ酒を頭上に 乾～杯 そして笑っています。

写真は オードリー・ヘップバーン ⇒
( ローマの休日  戦争と平和  マイ・フェア・レディ  シャレードなどに出演 )

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『 そうそう バンソウコで 思い出しました。 』
『 どうしたんですか？ 』
『 いや～ 数年前の話ですが ロンドンのホテルで朝食をしていると 額に大きなバンソウコを貼った
   関西のお客さんと出合ったのです。 』
『 そのお客さん 怪我でもしたのですか？ 』
『 ｸｸｸｸﾂ ･･･ 』　
『 どうしたのですか？ 』
『 確かに額に怪我をしていたのですが･･･ ｸｸｸｸﾂ･･･ 』暫く話しを続けられない！
『 ねぇ Dotpedさん その人どうしたのですか？ 』


『 その人は 怪我の理由を言わなかったのですが･･･ｸｸｸｸﾂ ･･･』
『 え～ それで どうしたのですか？ 』
『 その後に 他の人から聞いた話ですが･･･ｸｸｸｸﾂ ･･･ 』
『 そんなに可笑しい話を 独り占めするなんて～ 』
『 そうでは ありません。 ちょっと待って下さい。 今 笑いが止みますから！ 』
『 笑いが止みますなんて～それこそ可笑しいですよ～　ぅふふふ･･･ 』


『 その人 酒を飲み食事をした後 カジノでルーレットをしていたそうです。 そこで最初はツキに
   付き捲くり 何でも出張旅費全部を稼ぎ それでもオツリがあるくらいだったとか。 でも結局 
　 最後には全部吐き出してしまったそうです。 』
『 あら～それは残念。 』
『 問題は その後です。 彼は ルーレットに勝っている時 余り調子に乗り過ぎ お酒をガンガン
   飲んでチップ（＊）に間違いがあったようなのです。 チップ 分かりますか？』
『 分かります。 香港やマカオのカジノの話は聞いているので･･･　』


『　一緒にカジノをしていた人の話によると 彼は そのチップの色をよく見ることもなしに 飲み物
    を頼むたびに ポケットから無造作に取り出し 飲み物を運んでくるホステスに渡していたらしい
    のですが 100ポンドの換金用チップも 数枚含んでいたそうです。 』
『 100ポンド？ 』
『 そうです。 英国の100ポンドです。　その頃の100ポンドは約1万6千円。 100ポンドチップを
   2、3枚とすると 3万～5万円分のチップを渡した事になります。　ゲームが終わり その事に
   気がつきホテルに戻る途中 急に酔いが回り 酩酊しながら歩いていたそうです。 』
『 一人で 大丈夫だったのでしょうか？ 』


『 ホテルに戻る時には 他の人と一緒でしたが それこそフラフラと覚束無い足取りで あっちへ
   フラリ こっちにﾌﾆｯｸﾗ･ﾌﾆｯｸﾘ･ｸｸｸｸﾂ･･･　』
『 また～Dotpedさんたらー　一人で笑っていないで 早く教えて！ 』
『 彼は とうとう電柱にぶつかってしまったそうです。　そして ｸｸｸｸﾂ ･･･ 』
『 ｸｸｸｸﾂって！ 電柱にぶつかって痛い人が そんなに可笑しいですか？ 』
『 彼は 電柱に向かって ﾋｯｸ! アイ’ム ソーリー ﾋｯｸ! と何度もくり返し 頭を下げ 謝っていた
   そうです。 』
『 ぅふふふふ ･･･ ｸｸｸｸﾂ ･･･ 』　やはり小雪さんも笑い出した!!

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カジノ (casino) の語源は伊太利亜語の casa（小さな家）。王侯貴族が所有していた社交や娯楽用別荘であり江戸庶民の生活･文化とはまるっきり別世界でござる。産業革命以降ヨーロッパ各地に誕生カジノと呼ばれる。

〔チャレード〕身振り手振りのジェスチャーで言葉あて。
〔カジノ〕ロンドンに Palm Beach Casino というカジノは高級レジデンシャル街の一角にあり Mayfair Hotel に隣接している。私もそこのメンバーでロンドン滞在中日本の顧客を連れて行く場所。　全世界では現在１００以上カジノがある。
〔チップ〕カジノでゲームをする時、現金をチップに替える。　カジノによって異なる場合もありますがそのチップでカジノ内のレストランやバー又はゲーム場での飲み物サービスにも使用可能。
ゲーム場にいる　中東の美しいホステスにサービスとして心づけのチップとして渡す。

 楽しかった 江戸銀の食事時間も終盤。
『 そろそろ 上りにしましょうか？ 』
『 あがり？ 』
『 食事の終わりにいただく お茶のことです？ 』
『 色々名前があるのですね！ 』
『 おあいそ！ 』 カウンターの鮨職人へ 声をかける。
『 おあいそ？ 』 小雪さん 愛想よく首を傾げる･･･



 江戸銀を出る。 晴海通りを 銀座に向かって歩き始める。
『 少し銀ブラしますか？ 』
『 銀ブラ？ また何かの駄洒落ですかぁ？ 』　
『 銀座をブラブラ歩くことですよ！ 』
『 銀座をﾗﾌﾞﾗﾌﾞ散歩ですか？？？ 』
『 そうです･･･散歩です！ 』 手を繋ぎながらﾗﾌﾞﾗﾌﾞと言いかけ 止めた。


　　歌舞伎座付近は まだ車や人が多い。 
　　　昭和通りを渡り 新橋方向へ曲がる。
　　 　　眩しかった銀座の灯りが 落ち着いてきた。
　　　 　　銀座裏通り 暗がりを 二人で歩く。

     　　　　　　思い切って 手を軽く繋いで見る。 
                   そのまま自然に握る。
　     　　　　　　  暗がりの銀座裏。 大きなビルの陰。 
　　　　　　　　　　　 人の気配がなくなる。 ﾟ*:･*:･'☆


次回へ続く･･･

〔あがり〕
あがりが出るとお開きにする。　〔あがり〕は元々遊郭の言葉で〔上り花〕の略であったそうです。　遊郭で一番最初に出すお茶のことを〔お出花〕或いは〔あがり花〕と言っていたそうですが　今は一番最後に出すお茶を〔あがり花〕と呼ぶようになったと言われています。
〔お茶を挽く〕という言葉は、遊女や芸者が暇を弄んでいることを意味しお茶は〔引く〕ことに通じ商売人はこれを避け同時に華やかさのひとつとして言い換えていたと考えられます。
〔おあいそ〕
お店が『お愛想がなくて申し訳ありません』などと言いながら勘定書をお客に示していたことに始まる。　その意味では客の方から『おあいそ』と言うのは可笑しいかも知れません。

〔上海の小雪さん〕 第三章 その８ 〔 小雪さんは女優さん 〕

〔上海の小雪さん〕第三章　その８〔小雪さんは女優さん〕