〔上海の小雪さん〕は 10数年前の実体験を出来るだけ忠実に回顧 ノンフィクションで綴り 当時の時代背景と現在の社会状況や上海事情を組み入れた  ブログ記事です。 初めて読まれる方は シリーズ最初からお読み下さい。

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第一章 13【 水の都蘇州へ 】

・・・前回からの続き
あれは夢だったのか、夕べのあの楽しい一時を思い出しながら、ゆっくりと目を開ける。
いや、あれは現実。 

夜も更け〔夜来香〕の余韻を残し、小雨そぼ降る外に出る。
『 東京へ電話した時、上海は急に暑くなっていたのに、また涼しくなり可笑しいわね。 』
楽しそうに、そう言うとクルリと一回り。
『 今夜も、本当に楽しかったわ。 Dotpedさん、有難う。 』
微笑む顔で真っ直ぐ私を見つめ、両手で私の手を軽く握る。
温かく柔らかい手が、私の手を包む。 素敵なお休みのご挨拶! ただそれだけ・・・
タクシーに乗ると、車の中から手を振る姿が、だんだんと小さくなる。
あれは現実だったのだ。

部屋の窓から外を見る。 小雨は降っているが、風はない。 
朝のシャワー、慌しい朝食をすませ部屋に戻ってきたところに、メッセージランプが点滅。
もしかして、中止!? フロントへ電話する。
『 You have a message from Koyuki-san…. Just wait …. You have a phone-call again, hold on…』 余り上手ではない英語でオペレータが繋ぐ。
『 Dotpedさん、お早うございます。 先ほども電話しましたが、お食事に行っていたようですので、又掛け直しました。 今日は、あいにくの雨ね、でも午後には晴れるみたい。良かったですね。 後30分ほどしましたら、そちらに着くと思います。 』
(安堵!)ホー、ホー、ホタルのホー、意味の無い掛け声を出していた。

〔水の都、蘇州へ〕

外に出て、5分ほど待つとハイヤーがやって来た。
『 ニ~ハオ 』昨日と同じ運転手である。 
『 ニーハオ、 そして小雪さん、ニーハオ 』
『 あら、お上手ね~、ニ~ハオ 』 正しい発音は一味違う。

〔高速道路の工事現場〕
車は上海市内から郊外へ出る。 暫く行くと、時々渋滞にぶつかる。 
高速道路の工事現場が数キロ毎にあり、迂回したり待たされたりするのである。
大勢の人達が、つるはしを振り上げ、土石を運搬している。
何故、今時つるはしで作業をする人が多いのだろう。
もっと機械化して、工事を早めるべきではないだろうか?
中国経済は発展途上にあるとはいえ、地方の工事現場はそんなに遅れているのかな?
疑問をぶつけてみた。 意外な答えが返り、自分の浅はかな知識や発想を恥じた。

『 機械化するのは、簡単なことでしょうね。 でも、中国は人口が多いので、人々の働く場所を取り上げ、その人達の生活を奪う事には慎重なのでしょう。 ですから、急激な経済発展や地方の地域社会の事も考えなければいけないので、日本のようにスピードを上げて工事するのではなく、ゆっくり進むより仕方がないのだと 思うのです。 』
小雪さんは、淡々と説明した後、運転手と話し始めた。
話の内容は、早口でまるっきり分からないが、最近の上海事情を語り合っているようだ。仕事の事・上海市民の生活や年収の事らしい。
話しに参加してみた。 と言っても、小雪さんの通訳を介してだ。

今、一般市民のへ平均年収はどのくらいか? どんな職業の給与がいいのか? 上海の物価は安定しているのか? 住宅事情は等々・・・
上海は劇的な経済発展中であり、特に中国沿岸都市と他の農村都市などとは比較にはならないほどの成長を続けていた。 
当時、中国のGDPは年率11%を越していたが、もちろん今ほどの経済事情ではない。
中国国民1当たりの年間平均収入は約7千円、それに対して上海市民は約3倍。 
タクシー運転手など自由業者は、その数倍。 
軍人は安定し良い給与だが、軍人になるのは難しい。
物価上昇は著しく、中国経済発展に伴いヨーロッパの高級ファッションブランド製品や日本の高級化粧品なども、月の給与額以上の価格であるにも関わらず売れている。
上海市内の再開発地域で建設されるマンションは、高額であるのに誰が買うのか、凄まじい勢いで飛ぶように売れている等々。

(中国の現在と今後10~15年間の平均で年率7%以上の成長率になるとの予想。 山岳地帯や農村部など内陸部の人々の平均年収は1万3千円。 沿岸部と内陸部との貧富差は益々拡大している。)

運転手と二人で話している小雪さんは、上海語で話をする時は、非常に早口のような気がする。
同じ内容を普通に話したら、中国語と日本語とどちらが短時間で話せるのだろう?
『 日本人と中国人と、同じ内容を話すとしたら、どちらが時間的に短いのでしょうね?』
『 あらっ! わたし早口なので、ごめんなさい。 』
『 いえ、そうではなく、単純に中国語は漢字を読む。 日本語は(て・に・を・は)などをつけて話すので、その差があるのではないかと思い、一般の人が話しをする時には、どうなのだろうかと興味があるのです。 』
『 そうですね。 例えば“有難うございます”は〔謝謝〕。“さようなら”は〔再見〕 』
『 #%&¥%*@“#‘+・$%-.。。・・・』
『 難しいわ。 多分、中国漢字は少ないでしょうけれど、言葉にすると長いこともあるので、どちらとも言えないのではないかしら? 』 と言う。

運転手さんの名前を聞いた。 
『 りゅう 』という名らしい、『 坂本竜馬の竜 』かと聞くと違うという、それでは『 空を駆け上る龍 』かと聞くと、誇らしげに『 三国志に出てくる武将と同じ名の劉 』だと言う。 そう云えば、顔つきも武将のようにごっつく、無精ひげも生やしている。
(〔劉備〕後漢末から三国時代の武将。蜀(蜀漢)の初代皇帝。)

やがて遠くに大きな市街地が見えてきた。 明清時代の経済・文化の中心だった蘇州である。
(現在は、上海から列車で1時間ちょっと、料金片道13元)
・・・次回へ続く