long long ago.

それは何億年昔のこと。

神様が世界を創って、未だ間もない頃のこと。

 神様は沢山の植物や動物を創って仲良く暮らしていました。

そして、皆が生まれたお祝いに。と、神様は「進化力」を全ての者に与えました。

ネズミ君の住んでいた村にもその素敵なプレゼントは届きました。

ネズミ君は聞きます。「シンカリョクってなあに?」

神様は答えます。「なりたい物になる力さ。君が変わりたいと思ったときに、僕に頼んでくれれば、一つだけ。僕はすぐに叶えてあげるよ。」

「凄いや!」ネズミ君はやっぱり神様って凄いな。と思いました。

でも、そんなにすぐに答えは出ませんでした。なんでって、それはとても大きな問題で、なりたいものは沢山在ったからです。まだ小さいネズミ君には、いいアイデアが浮かびません。

「そうだ、みんなの変わる姿を見てから考えよう。」



しばらくすると、周りのネズミたちは、次々と元の自分の姿に別れを告げていきました。

ある者は、ガイテキを出し抜く賢さをいただきました。

ある者は、身を守るために木の上での生活を選びました。

そしてある者は、大きく、またある者は土の中へ、そしてまたある者は、前歯を硬くしました。

ネズミ君は気づきます。「そっか、生活しやすくなるには、ガイテキから身を守ったり、なんでも食べられるような歯を貰えばいいんだ。」そしてネズミ君は思いつきます。


「そうだ!耳を大きくしてもらおう!」

ネズミ君は急いで神様の所へ行きました。なぜなら、もう村の皆は進化の魔法をかけてもらっていて、まだ願いが決まっていないのはネズミ君ただ1人だったからです。

「神様!僕の耳を大きくしてください!!!!」ネズミ君は息を切らして言いました。

「どうしてだい?」

「僕、これからは空で生活するよ!ずっと空に行ってみたかったんだ!柔らかい雲に乗ったり、優しい風を受けて飛んだりしたいんだ!」

神様は「そうか。」と頷くと、ネズミ君の耳に進化の魔法をかけてくれました。

「いいかい?耳は少しづつ伸びてくるからね。垂らして、地上に付くぐらいになったら、羽ばたいてごらん。きっと上手く飛べるはずさ。」


それからネズミ君は村に帰りました。

皆もネズミ君の願いがかなったことを喜んでくれました。





幾らかの百年が経ち、幾らかの千年が経ち、だんだんみんなの体や生活に変化がでてきました。

ネズミ君の耳もだんだん伸びて、後もう少しで地面につきそうになった頃。

ネズミ君はみんなの視線に気づきました。

みんなネズミ君を見てヒソヒソ話をしています。

時折、嫌そうな顔をします。

たまに無視もされました。

ネズミ君は耐えかねてみんなに聞いてみました、

「どうして無視をするんだい?」

昨日までのお友達は答えます。

「気がつかないのかい?君、とっても気味が悪いよ。それに、その耳を見ていると、何でも聞いているんじゃないかって思えて苛々するんだ。」


ネズミ君は初めて涙を流しました。

部屋に閉じこもって泣きました。

何日も、何日も。耳が地面についても泣くことを止めませんでした。






ある日、ネズミ君はいなくなりました。

村の皆は、何処かへ飛んで言ったんだろうと言い合いました。

でも、違いました。ネズミ君は村を出たのでした。

皆に見せる顔がなくて、村を出て、森の外れまで来た時。

神様がやってきました。

「おや。まだ飛んでいないのかい?」

「違うよ。これから丘に飛ぶ練習をしにいくんだ。」

「でも泣いているじゃあないか。」

「眼に松の葉が入っただけさ。」


そういってネズミ君は歩き出しました。







何日経っても、何年経っても。

ネズミ君が姿を見せないので、神様は捜し歩きました。


途中で、皆がネズミ君の耳をなんと言ったか知りました。

神様は罰として、みんなの進化を止めてしまいました。

中途半端なものもいましたが、そんなのは気になりませんでした。



神様は一生懸命探しました。

そして数年後、ネズミ君のおうちを隣の国の山奥で見つけました。

ネズミ君はまだベットに入ってないていました。

やせ細って、病気のようでした。

神様はもう一度言います。

「飛ばないのかい?」

ネズミ君は言いました。

「一度は飛んでみたんだよ。でも怖いんだ。飛ぼうと羽ばたくと何も聞こえなくなるんだ。また誰かが何か言ってるんじゃないかって、不安で仕方がないんだよ。」



数日後、ネズミ君は死んでしまいました。

寂しくって死んでしまったのでした。

神様は最後に、ネズミ君にプレゼントをあげました。

「ウサギ」という名前をあげました。


                                                  fin.