先日の日記にも書いた通り、

中学の頃の同窓会に行ってきました。


「ずっと好きだったアキに会えるかもしれない」というピュアな期待と、

「誰かとどうにかなってついにDT喪失できるかもしれない」という邪(よこしま)な期待を抱きつつ、

時間より少し前に、会場となる店に到着しました。



17:50


開始10分前に店に到着。

店は洋風居酒屋で、雰囲気は良い感じでした。


案内されて奥に入ると、20名くらいほどの個室があって、

すでに何人かが席についていました。


15年ぶりの再会でしたが、みんな全然変わっていなくて、

あっという間に昔のように打ち解けられました。




18:00


開始時間になり、まだ若干席が空いていましたが、

幹事の仕切りで飲みが始まりました。


残念なことに、女子は数名しかおらず、ほとんど男ばかりでした。

結婚している女子の場合、主婦業や子育てが忙しかったりで、

夜は中々出歩けないのかもしれません。


しかも、参加しているわずかな女子も、

中学時代、誰とでも仲良くしていた私でさえほとんど交流のなかった、

「オタク系女子グループ」のメンバーで、

前日から色々と妄想していた私にとっては、かなりガッカリでした。



「同窓会で会ったあの子とDT喪失計画」が、

手の届かない遠くへ行ってしまった瞬間でした。




18:30


みんなお酒もまわってきて、いい感じに盛り上がってきた頃、奇跡が起きました。


「おっ! アキ、久しぶり!」


誰かの声でハッと顔を上げると、そこには、あの、アキがいたのです。


「ごめんね、遅くなっちゃって」


15年ぶりに会うアキは、すっかり大人の女へと変貌を遂げ、

しかも、誰が見ても魅力的な美人になっていました。


新垣結衣というより、紺野まひるにそっくりでした。



mahiru


盛り上がっていた会場が、一瞬シーンとなったのが分かりました。

全員がアキの(良い意味での)変わりように驚いているようでした。


(今頃気づいたか!)


と、私は心の中で言いました。



アキは、しばらく会場を見渡していましたが、

ふと、私に気がつくと、こちらにやってきて、言いました。


「ここ、いいかな?」


アキは、なんと私の隣の席に座ったのです。


私の心臓は急激に早く脈をうち始めましたが、

私はそれをアキに悟られないように、


「ああ、いいよ」


と言いました。




19:30


序盤、いきなりアキが隣に座ってくれはしたものの、

久しぶりの挨拶と近況報告のような他愛のない話しか出来ず、

また、時間が経ってみんな酒が回ってきてからは、

最初の席など全く関係なく入り乱れるようになり、

しかも一躍大人気となったアキはあちこちから呼ばれ、

私と話す機会すらなくなってしまいました。


せっかくのチャンスなのだから

積極的に行こうかとも考えたのですが、

楽しい同窓会の雰囲気を壊してはいけないと思い、

自重せざるを得ませんでした。




20:00


同窓会も終わりに近づいた頃になり、

やっとアキが私の隣に戻ってきました。


「大人気だね」


私がそう言うと、


「さすがにこれだけ女の子が少ないと、私でもモテるみたい(笑)」


と、アキは笑いながら言い、さらにこう続けました。


「でも、そのおかげでモテ君とあまり話せなくなっちゃった」


その台詞を聞いて、衝撃が走りました。

いったいどういう意味なんだろう。

私の頭はフル回転、心臓はバックバクです。


しかし、アキはそんな私の気持ちなど全く関係ないといわんばかりに、


「トイレ行きたいんだけど、どこか分かる?」


と言いました。


私は苦笑しながら、


「そこの廊下の突き当たりだよ」


と答えたのですが、ここでアキが予想外の台詞を言ったのです。


「分からないから、一緒に来て」


「え?…たぶん行けばすぐに分かると思うんだけど…」


「いいから、来て!」


そう言って、アキは私の手を引くと、

強引にトイレに連れて行きました。




20:15


トイレは、店の中心からは少し離れた、

廊下のはずれの少し静かな場所にありました。


先にトイレを済ませた私が入口付近で待っていると、アキが出てきました。


「お待たせ…っていうか、待っててくれたんだ」


「そりゃあ、無理やり連れてこられたら、何か話でもあるのかと思うじゃん…」


「ふふふ、そっか」


「なんだよー」


悪戯っぽく笑うアキは、

中学時代の、おとなしくて無口だったアキとは全く別人に見えました。


「話ってほどでもないんだけどさ、2次会どうするの?」


「みんなと合わせると思うけど」


「そっかー。でも、たぶん、女の子は私一人になるんだよねー」


オタク系の女子グループは、間違いなく1次会で帰るだろうから、

もしアキが来るとなれば、まあ、そうなるだろう。


「だろうね」


そう答えると、少し間を置いて、アキが口を開きました。


「…あのさー」


「ん?」




「二人でどこか行かない?」




予想外どころではなく、

私の妄想すら遥かに超えたアキの発言に、

一瞬頭が真っ白になりましたが、

精一杯、こう答えました。



「いいよ」




(つづく)