ちょっと来なさい
階下で父が呼んでいる。
なんだ、この声に含まれる悲壮感は。
よもや、解散!とか言い出すのではなかろうか。
例の芸人のように……。
しかし行ってみると、お土産があるというだけのことだった。
疲れと体調不良から、声が重たくなっていたようだ。
取り出されたのは、箱に入ったケーキ。
ホールだ。デカイ。
母に命ぜられるまま、おもむろに箱を開けた。
メリークリスマス!
ベリークマっす!
(なんとキュートなクマさんでしょう)
クリスマスにはひとつき早いが、
とある番組で早めに特集を組んだため、
それに使ったものを貰ってきたようだ。
可愛い。ときめいてしまうではないか。
(21歳・男)
しかし、しかしだ。
私はヒューマン。
お前はベアどころかアニマルですらない。
フードだ!スイーツだ!ケィクだ!
ならば食わねばならぬ。
というわけで、
一刀入魂!
ベリークルシミマス!
何ィ!まだそんな下らないことを言う余裕があるのか!
フタエノキリコミ!アッー!
ベリークロスシテマス!
最早語呂も何もあったものではないが、
ともかく可愛いクマさんは、
こうして我が血肉となった。
しかし顔の部分は全てチョコムースで、
ケーキらしい生地は下に数ミリあるだけだったクマの中身。
一人で4分の1はかなりヘヴィだった……。
それでも美味しかったよクマさん。
ありがとう、君の笑顔(無表情だけど)は忘れない!



