miniSDカードが無い……。
俺はケータイ用に、64MBと128MBとのminiSDを1枚ずつ持っている。
そのうち64MBの方が見当たらないのだ。
普段使っていたのは64MBの方であり、128MBは容量はデカイがほとんど空っぽだ。
たまたま差し替えて以来、1週間ほど見ていない。
少ないほうだからいいか。そう諦めることが出来ないでもない。
今なら1500円程度で買えるし、128MBが手元にあれば容量不足で困ることも無い。
しかし、集めに集めた音楽や、撮りためた写真、
僅かながら持っていたケータイゲームなど、
かなりのデータが詰まっているのだ。
やはり探し出すしかない。
心当たりを片っ端から探した。
鞄の中も机の中も
普段持ち歩いている鞄、衣類のポケット全て、退院時に使ったボストンバックや手提げ鞄
どこにもなかった。
「病院に忘れてきた……?」
そんな疑念が湧き上がった。
いや、それだけはない、何度も確認したはずだ。そう振り払い、
最後に親の車の中を探した。
ドアの手すり部分にモノを入れ忘れることが良くあった。
最後の望みと、隈なく探す。
夜だったため、ケータイのカメラ用ライトを使った。
懐中電灯より明るいくらいで、無駄にバッテリーを消費しそうだが、
おかげで光量は十分だった。
しかし見つからないのだ……。
諦めかけたそのとき、手すりよりさらに下部にある小物入れの中、何かが光を反射した。
「あっ」
思わず声が上がった。
それは中3まで使っていたデジタルの腕時計だった。
【3.10 19:45】
薄汚れたディスプレイに、はっきりと数字が浮かんでいる。
3月10日午後7時50分のことだった。
実際の時刻より5分ほど遅れてはいるが、
忘れ去られていた4年の間、こいつは時を刻み続けていたのだ。
途中に閏年もあったろうに。
凍りつくほど寒い日もあったろうに。
溶けそうなほど車内は暑く・熱くなったろうに。
走って揺れて事故ったこともあって、何度も打ち付けられただろうに。
たった五分のズレがあるだけで、こいつは働き続けていたのだ。
――忘れ去った本人が言うのもおかしいかもしれないが、
剛毅木訥・誠心誠意、己の全うすべきことをひたすらに行う様に心を打たれた。
俺は時計を袖で強く拭き、そっとポケットにしまってからその場を後にした。
miniSDは
見つかってねぇ!
(゚Д゚;≡;゚Д゚)
