パラリンピック 静かな闘い | 平岡秀幸 ・ ブログで読む演技論

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 パラリンピックの柔道の試合中継を観た。

 日本人選手がメダルを取った。

 男子では広瀬選手が銀メダル。藤本選手が銅メダル。

 女子では広瀬選手が銅メダルを獲得した。

 本当におめでとうございます。

 試合はまだ残っているから、メダルはもっと増えるかもしれない。


 これらの試合を見ていて気付いたのだが、何だか静かに試合が進んでいく。

 オリンピックに比べて、客席の盛り上がりが足りないということもあるのだろうが、どうも選手の闘い方が静かなのだ。


 何かの本で解剖学者の養老猛さんが、脳の働きはアウトプットとインプットの二つしかない、ということを書いていた。

 これを精神や心、意識の働きと言い換えても、やはり同じことが言えるだろう。


 コミュニケーションも同じだ。

 受け止めるか働きかけるか、受信と発信だ。

 もちろんその二つの働きが交互に行われるわけではなく、同時に行われる。

 そのバランスで、聞き上手な人や話し上手な人ということになる。

 話べたな人やおしゃべりな人、人の話を聴かない人ということにもなるが・・・。


 話を柔道に戻そう。

 視覚障がい者の柔道は、インプットの要素が強いのではないかと感じたのだ。

 相手の動きを感じ取り(インプット)ながら、攻撃を仕掛ける(アウトプット)。

 通常の柔道と違い、視覚障がい者の柔道は相手と組み合ったところからスタートする。

 その瞬間から相手の動きを全身で感じ取っていく。

 相手が投げに来た時や、寝技になったとき、つまり体が密着した時の反応はものすごいものがある。

 観ていても面白い。

 その流れるような動きが静かに進んでいく。

 一本が決まったときも、本当に決まったのかどうか全身で感じ取ろうとしている。


 オリンピックがおしゃべりな柔道なら、パラリンピックは聞き上手な柔道だ。


 では話下手な人や人の話を聴かない人はどうか。

 まあ、そういう人は柔道には向いていないでしょう。