2ヶ月ぶりだった。

心からの穏やかな表情をした笑顔。


学校でたくさんの我慢をしてきたから、もう心がいっぱいになってしまって、パンクしちゃった。


娘がある日、学校の保健室で泣きながら私に言った。

もう、学校へはいけない。

そう言って、ただただ大粒のそして無数の涙をこぼしていた。

抱きしめてあげることだけしかできなかった母だった。

それでも、あなたが少しでも前に進めるように応援するからね・・・とそれだけ伝えて、ギュッと抱きしめた。


学校の先生と保健室の先生と、ホームドクターで話し合って、これからの彼女をどう支えていくかを模索中だった。


11月17日。早乙女太一、八王子公演。

ずいぶん前から楽しみしてた私だったけど、昼の部のチケットは、最前列のど真ん中の席のチケットを、友人に譲った。

この日は、娘のそばにいてあげたかったから。


夜の部。前から2番目の良席。

夕方から娘と一緒に八王子へ。

久しぶりに、近くで板の上の太一くんを応援。

太一姫の舞をみて、少しでも元気になってくれればって思った。


調子悪くなっても、大丈夫だよ。すぐに外に出て、休もうね・・・


そんな心配はいらなかった。

ほんと、2ヶ月ぶりに、彼女は楽しそうにそして幸せそうに、太一くんを見つめながら舞台を堪能してた。

ニコニコしながら手拍子をして、板の上の太一君をただただ見つめてた。


太一くん、あなたは、魔法を使えるのでしょうか・・

娘と言葉を交わしたわけでもないし、メールを交わしたわけでもない。

ただただ、太一の舞を見ていただけ。

それなのに・・・

翌日から学校へ通学していった。

今まであんなに辛そうにしてたのに。


私、目標の大学進学というゴールに向けて前に進んでみるね。

そう言った。もう泣いてなかった。


太一くん、あなたは17歳の多感な娘に、どんな魔法をかけたのでしょうか。


それから、彼女はどんどん前だけを見るようになった。

他にも、信頼している方から魔法の言葉をもらったようで、見違えるように強くなっていった。

そして、少し優しくなった。


イケメン達は、魔法を使えるんだってこと、初めて知った。


想い人の存在はすごいんだね。

どんなにどん底に落ちても、ほんの少しの愛のこもった魔法で、暗闇からはい上がってくる力が湧いてくるんだね。


想い人ってほんとすごい。

あなたたちは本当にすごい。


知らず知らずの間に、人を元気にして、そして人を強く優しくしていくんだね。


ほんと、あなた達ってすごい。

想い人ってすごい。