11人目の里子ちゃんとの生活は数日間でしたが、色々考えさせられました。

まず委託初日の夕食時、とっても小柄なので小食なのではないかと少し加減して食事を出したところ、これ食べてもいいのとばかりにこちらの表情を伺い、〇〇ちゃんのご飯だよ。いっぱい食べていいよと声を掛けると次々平らげていきました。

カトラリーは使えなくはないようでしたが、食べたいという気持ちが勝っているようで手づかみで頬張っていました。

特にお味噌汁は一口ごとにあーと声を出しながら食べ、お世話していた母のお味噌汁まで食べていました。

この子本当はいっぱい食べられる子なんだろうな、でも多子家庭の末っ子。

きょうだいが食べてしまったり、もしかしたら実親さんはこの子はまだ小さいからと食事量を少量にしてしまっているのかもしれないと思ってしまいました。

それから我が家にいる間は本当によく食べお別れの頃には体重が少し増えたようで、お腹も幼児さんらしいポッコリお腹になっていました。

お風呂は初日は第2子が入れてくれたのですが、脱衣所の時点で不安そうな表情になり、シャワーを掛けようとすると顔や体全体にグッと力が入り、お湯を優しくかけ始めたにもかかわらずギャーと泣き叫んだそうです。

湯船に入っても落ちつかない様子で第2子は普段どんなお風呂の入り方してるんだろうととても心配していました。

翌日以降は夫がお風呂に入れ、優しく丁寧に洗ったり声掛けしたり、おもちゃで遊んだりしたことで少しずつ不安が和らぎ、最後の日は一度もなくことなくけろっとした表情でお風呂から上がってきました。

もしかしたら普段のお風呂はきょうだい達が担当していて、恐怖心を取り除くこともなく頭からお湯を掛けられたり、適当に体を洗われたりしているのではと想像してしまいました。

最も印象に残っているのは里子ちゃんの小さな手にできた大きな吸いダコです。

隙間時間や眠くなった時に指しゃぶりを始めるのですが、委託初日の夜すごい音を立てて寝付くまでの一時間、そして寝てからもひたすら吸い続けていました。

反対の手はパジャマの内側についているタグを握り、まるで自分を抱えるように寝る姿に日頃の寝かしつけはどうなっているのだろうと心が痛くなりました。

また日頃は夜泣きをするそうで、その対処方法として実親さんは起きてミルクを与えていたそうです。

我が家でも夜泣きはありましたが、大丈夫だよと声を掛けながらトントンをしているうちに直ぐに寝てしまうので、里子ちゃんに対する実親さんの関わり方全般どうなっているのだろうと複雑な気持ちになってしまいました。

他にも幼児番組に興味を示さない→きょうだいが好きな番組を見てしまっている⁈、

〇〇しようねと声を掛けると嫌がらずに従う→抵抗すると怒られる⁈等、幼児さんならもっと自由に意思表示したり、嫌々するよねと言う場面がほとんど見られませんでした。

勿論見ず知らずの人の家で緊張もしていたでしょう、精一杯いい子でいようと頑張っていてくれたのかもしれません。

でもでもなのです。

この子は普段、こんなにまだ小さいのにのびのびと自分らしく生活することができているのだろうか。子どもが子どもらしく生きていける環境にいるのだろうかと考えずにはいられないそんな里子ちゃんでした。

両親も私たち家族も同じ気持ちを持ったようで、少なくとも我が家にいる間は子どもらしい時間を過ごせるようにと接しました。家族皆、それぞれにできることをしました。

多分その思いは届いたと思います。

日毎に笑顔も自己主張も見られ、私たちはとても嬉しくやりがいを感じました。

そして、実親さんが退院されお別れの日が来ました。

家族皆、心残り、心配は尽きません。

11人目の里子ちゃん、どうか元気で逞しく成長しますようお祈りしています。