
午前10時の映画祭、 ハーバーランドで小津安二郎監督の「小早川家の秋」を見てきました。
読み方が「こばやかわ」でなく 「こはやがわ」なのです。
この映画は 宝塚市にあった宝塚 映画制作所で創立10周年の作品として 松竹の小津監督を招聘した作品なんですな。(1961年の作品)
もともと戦前に 宝塚 映画 という映画制作会社があったのですが 戦況悪化でなくなり 1951年に阪急が出資して再出発したのがこの映画制作所なのです。後に映画からテレビに時代は流れ 1968年には撤退したそうです。(宝塚ファミリーランドの遊技 施設 敷地内にあったらしい。)
映画会社の東宝 が 阪急の出資で作られた映画会社なので 加山雄三の若大将シリーズなどもで作られたので結構大きな映画制作所であったと思われます。
物語は伏見の代々続く造り酒屋の小早川家のホームドラマ。
中小企業の造り酒屋は大会社に経営をまかせ 合併するか 検討中。先代の万兵衛は引退しふらふらと遊び歩いている。長男の未亡人 秋子の再婚話、妹 紀子の結婚話。そんな中 万兵衛は浮気相手の家で急死。小早川家は合併に。秋子は再婚の断り紀子は好きな相手を追って 札幌へ。
最後は万兵衛のお葬式で火葬場から煙が出るシーンでラストを迎えます。
原節子の最後の小津 監督の作品。
当時の役者さんの年齢も付け加えておきます。
小早川家の秋子(長男の未亡人)原節子 41歳。
お見合い相手 磯村 鉄工所の社長 森繁久彌 48歳。
小早川家の長女 文子 新珠三千代 31歳。
文子の夫 久夫 小林桂樹 38歳。
(この人が小早川家の経営をしている)
小早川家の次女 紀子 司葉子 27歳。
紀子が好きな相手 大学の助教授 寺本 宝田明 27歳。(ゴジラで有名な役者さんです。)
小早川 万兵衛 中村鴈治郎2代目 59歳。
(当時の人間国宝です。)
万兵衛の浮気相手 佐々木 つね 浪花千栄子 54歳。
佐々木つねの子供 百合子 団令子 26歳。
万兵衛の親戚
万兵衛の義弟 北川 加東大介 50歳。
(映画の七人の侍 や陸軍中野学校で有名ですね。)
万兵衛の妹 加藤しげ 杉村 春 子 55歳。
万兵衛の弟 林 遠藤達雄 33歳。
番頭 山口 山茶花究41歳。
店員 丸山 藤木修30歳。
火葬場のシーンに出てくる 農夫
笠智衆 57歳。
その農夫の妻 望月優子44歳。
(後に社会党 国会議員です。)
医者 内田朝雄 41歳。
(悪役のラスボスみたいなやつが多い役者さんです。)
映画の感想
関西の京都の伏見が舞台なので みんな 関西弁で喋ります。変な関西弁ではないんですが昔の上方漫才 、上方 落語に出てくるような関西弁です。京都や大阪 や 神戸 など微妙に関西弁のニュアンスが違うので「ほな、さいなら。」とか出てくると神戸の人間としてはなんか 珍しいような気がします。
小津安二郎監督の人物を真正面からバストショットで撮る手法はどうやって撮影したのか気になりました。一つずつ場面を撮って 重ねて いったんでしょうか?役者の演技が結構難しくなるような 。
場面場面 映画のセットのような小綺麗さを感じるのですが 阪急十三駅のシーンは夜間ロケをしたそうですね。あまりに 小綺麗なのでスタジオ 撮影だと思ってました。
ちなみに 小津安二郎監督は63年に死去されてます。晩年に近い映画だったんですな。
また 女性陣が艶っぽい喋り方するんですよね。
当時 みんなそんな感じだったんでしょうか?
秋子が「私おばあちゃんだから」というセリフがあるんですが現代の感覚から言うと 人生が20年早く終わるような時代だったんですかな?
(人生のサイクルが早い)
逆説的に言えば 現代は人生のサイクルが長くなったということですね。長生きになったものだ。笑
あと 万兵衛の浮気相手の子供の
百合子「お父ちゃん、 ミンクのコート こうて」
万兵衛「こうたる、こうたる。」
みたいな会話があるんですがミンクのコートって当時いくらぐらいしたんでしょうね?
また今でも売っているんでしょうかね?