地震で家が無くなったけどそれでもそこに戻ってくる猫がいました。
もうご主人も家もない空き地となった場所に一匹、ぽつんとそこにいたのでした。
いつか迎えに誰かが手を振ってくれるであろうと思いながら・・・。
猫は夢を見たのでした。
大きな家でそこにはご主人がいて、ご主人の家族がいて
いつも騒がしいけどそれは平和で心地よい世界がありました。
ああ、もう一度あの世界にもどりたい。
猫はそう思うと静かに泣きました。
「ニャー・・・。」
するとどうでしょう。
家がまるでコマ送りのように建ち始めご主人様やご主人様の家族が現れたのです。
「さあ、おいで、いままでよくひとりでがんばったな。」
ご主人様は手を差し伸べ猫を抱き上げました。
猫はうれしくてもう一度泣きました。
「ニャー。」
猫の頭に白い羽根がのっていることに誰も気づきません。
ただうれしくて、うれしくてその気持ちで誰もが一杯でした。
その結末は幸福であるとそう私は信じたいと思います。