東大大学院理学系研究科教授で物理学者の早野龍五さんと、

コピーライターの糸井重里さんの対談集です。

 

東日本大震災による福島第一原発の事故について、

その放射線の状況をどこまで正確に知っているかと言われると

いささか自信がありません。

 

 序章 まず、言っておきたいこと

 1章 なぜ放射線に関するツイートを始めたのか

 2章 糸井重里がなぜ早野龍五のツイートを信頼したのか

 3章 福島での測定から見えてきたこと。

 4章 まだある不安と、これから

 5章 ベビースキャンと科学の話

 6章 マイナスをゼロにする仕事から、未来につなげる仕事へ

 

福島で開かれたある勉強会で、地元の中学生の女の子から

「先生、それで、私はちゃんと子どもを産めるんですか」と

質問された早野氏は、間髪を入れずに「はい、ちゃんと産めます」

と答えたそうです。

私だったら、たぶん躊躇します。

 

後段では福島の高校生たちが、自分たちの研究の成果や

現地のナマの状況などをフランスで発表する話が出て来ます。

広い世界から見れば、あの小さな福島で起きたことは、

「福島=全滅=廃墟」と思い込むのが普通で、

私だって仮にどこかの島の小さな町で同じような事故が起きれば、

同じように感じると思います。でも現実はかなり違う。

 

事実と真実、データに基づく冷静で客観的な視点とその継続・・・etc.

いま同様に「目に見えないモノ」と闘っているわけで、

「心のありよう」も含めて、とてもいい内容でした。

7年前の本で古本屋の100円コーナーですから、めっけもんでした。

 

【2021年10月12日 読了】