「町家」に住むと言えば、何となく「いい感じ」と思うし、
まして京都の町家となれば、憧れにも近くなります。
その理由は、日本人だからでしょうか。
でも現実はそんなに甘くなく、「町家住まい」が如何に大変なものか
実際に住んでみた体験をもとにした内容で、
サブタイトルの「古民家ひっこし顛末記」というドタバタ劇を見ているようでした。
実際に見たことはない「京町家」ですが、
テレビなどでしばしば紹介されるので、
何となくイメージで分かったような気になっています。
著者の顛末を読んでいくと、日本の伝統文化、とくに建築に関わる部分や
工芸に関わる部分についての現場レポートのようなもので、
読んでいる方も体を動かしながら、知識を身に着けて行くような感覚になります。
彼女の最後のひと言、
【ただ、いまはこの「引き算」の暮らしがことのほか楽しいのです。
自由になった、という気がするのです。】
という独白が妙に胸に沁みました。
【2021年7月16日 読了】