昔々読んだ本を再読して、敬意を表してから処分して行く、

私なりの身辺整理の3冊目も芥川でした。

 

第1刷は昭和44年(1969)ですが、

この本は昭和47年(1972)の第4刷版。

 

最初に読み終えた日付は「1973年2月1日(木)」となっています。

47年前当時の岩波文庫にはパラフィン紙がかけられていました。

その透明で薄いカバーもそのまま残っており、

 

剥がしてみると、新品とは言いませんが、

まだまだ新しい表紙が出て来ます。

定価は「★」マークしかなくて分かりません。

 

「河童」は芥川が自ら命を絶つ5ヶ月前に発表された作品で、

読み直してみると、奇抜さの中に狂気を感じます。

寓話を題材にしながら、社会風刺を試みたと思われますが、

自らの内面の葛藤のようなものが、狂気を感じる根底にあるような気がします。

他に「蜃気楼」「三つの窓」も相変わらずのチャレンジ・タッチ。

 

解説の中に、芥川がこの世を去る昭和2年に

友人である宇野浩二が先に精神に変調をきたしたことが書かれています。

「三つの窓」の戦艦の話は、そう思って読むと納得がいきます。

 

青版の帯と、PR入りの栞も懐かしいものでした。

 

【2020年5月16日 再読了】